映画タイトル:セッション
原題:WHIPLASH
製作年:2014年 アメリカ
監督:デイミアン・チャゼル
映画『セッション』は、
名門音楽学校でジャズドラムに打ち込む生徒と、彼を指導する鬼教師を描いた作品です。
生徒の野心と教師の狂気がぶつかり合うラスト9分19秒ー。これは感動作なのか!?
キャスト
・マイルズ・テラー(アンドリュー・ニーマン)
ジャズドラマーを志願して名門音学学校に入学した生徒
・J・K・シモンズ(テレンス・フレッチャー)
天才を見出すために執拗なレッスンを課す鬼教師
・メリッサ・ブノワ(二コル)
映画感の売り子の女子学生 アンドリューの恋人になるがー
映画『セッション』の見どころと感想
(*ちょっとネタバレありです)
Sony Pictures Classics / Photofest / ゲッティ イメージズ
ひとり黙々をドラムを叩くアンドリュー。
その姿に興味を持った鬼教師フレッチャーは、自身のバンドのドラマーにスカウトします。
アンドリューが初めて参加したフレッチャーのレッスンは超ピリピリムード。9時キッカリにフレッチャーが現れると一斉に立ち上がる生徒たち。音を外そうものならたちまちあぶりだされ教室から追い出されます。
そんななかアンドリューが主奏者に代わってドラムを叩くことに。
演奏前の休憩時間、緊張するアンドリューに対し優しい言葉をかけるフレッチャー。
が、いざ演奏を始めると「テンポが違う!」「テンポが遅い!」「早い!」と怒鳴り散らし、しまいには椅子を投げつけー。
この日からフレッチャーの狂気のレッスンが始まります。アンドリューはドラムに専念するために恋人と別れ、厳しいレッスンに耐え、自分を追い込んでいきます。
しかしある演奏会の当日、遅刻しそうになったアンドリューに思いもよらぬことがー。
評)熱血指導に感動!ではない 音楽バカが魅せる狂気の世界
教師が生徒の力を最大限に発揮させるために「追い込む」ということが実社会でもままありますよね。極限状態にある二人にしかわからない世界があり、この映画『セッション』もまた、そうした世界を描いた見事な作品とも言われています。
いやいや、ホントにそうなの? この映画はそっち方向なんでしょうか?
(*このあとネタバレします)
音楽学校を辞め、ドラムも辞めてしまったアンドリューは、ある日、ジャズバーでピアノを演奏するしなびれたフレッチャーを見かけます。アンドリューに気づき「再び自分のもとで演奏しないか」と誘ってくるフレッチャーには、かつての鬼教師の面影はありません。
しまい込んだドラムを組立て、再びドラムを叩き始めるフレッチャー。
そして演奏会の日。
アンドリューは演奏直前にフレッチャーに思いもよらぬ一言をかけられ激しく動揺します。さらに自分には譜面が渡っていない「新曲」の演奏がはじまりー。
アンドリューはフレッチャーへの失意から演奏を止めてステージを降ります。
が、アンドリューは再びステージへ。そして勝手に演奏を始めます。
「勝手なことを!」と止めようとするフレッチャーですが、「俺が合図する!」というアンドリューの言葉でタクトをとり、ここから映画史に残る「ラスト9分19秒の演奏」が始まります。
再会した二人がようやく心を一つにした、これこそが最高のセッションー、と思わせておいて、いややっぱりなんか違う、なんかへんな感じです。(そもそも、『セッション』って邦題なんですよ。ある意味ミスリードしています)
この二人の音楽バカにとって「音楽」って何なんでしょうね。
自身もミュージシャンを志しドラムを叩いていたデイミアン・チャゼル監督は、音楽学校での挫折と「ドラム」という楽器にある暴力性を描きたかったとインタビューで答えています。
また、映画のなかでスポーツに打ち込む同世代の若者が、「音楽の評価ってしょせん好き嫌いじゃん」的なことを言うシーンがあります。
音楽によって自己実現しようという思いが生み出す孤独な闇。この映画はそうした音楽と音楽にとり憑かれた人のトンデモナイ一面を描いているのではー。
そして、ドン引きする長ーいラストの演奏が終わった瞬間、フレッチャーの目元のアップ。
主演ふたりの熱演はスゴイ! そして「音楽」を切り取る映像もかなりカッコイイ!
この一筋縄ではいかない映画を、ぜひたっぷりとお楽しみください。
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