映画タイトル:ローマに消えた男
原題:VIVA LA LIBERTA
製作年:2013年 イタリア・フランス
監督:ロベルト・アンド
映画『ローマに消えた男』は、
突如失踪する野党党首と替え玉となる双子の弟。突如のキャラ変は世間に大ウケ。失踪した当人は昔の恋人を訪ねー。奇想天外なストーリーのなかに大人の繊細さと色気と社会批判が織り込まれたヒューマンドラマです。
キャスト
・トニ・セルヴィッロ(エンリコ・オリヴェーリ / ジョヴァンニ・エルナーニ)
長く疎遠状態にある双子の兄弟 兄のエンリコは政治家 弟ジョヴァンニは元哲学教授
・ヴァレリオ・マスタンドレア(アンドレア)
エンリコの側近
・ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ(ダニエル)
エンリコの昔の恋人 映画のスプリクター 映画監督の夫と娘とともにパリで暮らす
・ミケーラ・チェスロン(アンナ・オリヴェーリ)
エンリコの妻
映画『ローマに消えた男』の見どころと感想
(*ちょっとネタバレありです)

イタリア最大野党の党首エンリコ・オリヴェーリ。支持率が低迷しするなか迎えた選挙戦では演説中に「お前じゃ勝てない!」とヤジが飛びます。
その翌日、エンリコは突如失踪。
側近のアンドレアは妻アンナの助言のもと、エンリコとは長く疎遠状態にある双子の弟のジョヴァンニに代役を頼むことを決意。
あることで心を病み長期間療養していたジョヴァンニでしたが、この話を快諾。
エンリコに比べ明るく人を惹きつける魅力のあるジョヴァンニの選挙遊説は聴衆にも大ウケします。
一方、失踪したエンリコはパリで暮らす昔の恋人ダニエルを訪ねます。映画監督の夫と結婚して子供もいるダニエルでしたが、事情を詮索することなくエンリコを家に置くことにします。
ダニエルとその家族と過ごすうちにプレッシャーから解放されるエンリコは、ジョヴァンニが自分の代役となり人気を博していることを知り、ジョヴァンニにお礼の電話をかけるのですがー。
評)自分を探し求める大人の、滑稽で切なくて色っぽい姿
正反対の性格の2人が入れ替わってー、って漫画のような設定ですが、その奥に人間のリアルな思いが描かれています。
失踪するエンリコの代役を引き受けるジョヴァンニ。”代役”というなら多少なりとも兄エンリコのイメージに寄せるはずが、そうはしません。「兄よりもデキるオレ」「兄ではない自分」を示したかったのか。いやいや、もっと複雑で繊細。
エンリコとしての人気を集めれば集めるほど、ジョヴァンニ自身の中の何かが失われていくような”痛み”が。そこにダニエルをめぐる過去も交錯しー。
トニ・セルヴィッロが見事に演じ分ける双子ならではの心理描写。ポピュリズムに傾倒していく社会への風刺。そして、エンリコ、ジョヴァンニ、アンドレア、ダニエルといった大人たちが。自分自身を求めて彷徨う姿を、滑稽に、切なく、そして色っぽく描いています。
見どころたっぷりのイタリア映画『ローマに消えた男』 おすすめです。
◆Amazonプライムでの最新の配信状況はサイトでご確認ください。
Amazonプライム会員に登録