映画の名シーンが再現できなくなる未来 『幸せの黄色いハンカチ』と『her/世界でひとつの彼女』

幸せの黄色いハンカチおすすめの映画

スーパーやコンビニで「無人レジ」の導入が進んでいるという。

人手不足や人件費の高騰に対応するもので、今後ますますこの動きは進んでいくものと思われる。

 

なんつって、ニュースサイト風にキメてみたけれど、人手不足や人件費の高騰は確かにアレだけど、問題はそこじゃないっ!

 

レジの無人化が進むということは、あの『幸せの黄色いハンカチ』の名シーンが再現できなくなるっちゅーことですよ! 奥さん!

 

古い映画や、古い時代設定の映画を見ていると文化の変遷を感じます。

 

スマホがあれば生じることのなかった「すれ違いの恋」
防犯カメラやドライブレコーダーがあれば早期解決に至った「逃走劇」
顔認証や指紋認証があれば不可能だった「詐欺事件」

 

これらは現実社会では「ないほうがいい」ことではありますが、同じように『幸せの黄色いハンカチ』を失っていいんですか! 奥さん!

 

という、話を始めます。

 

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映画『 幸せの黄色いハンカチ 』はこんな映画


-(C)1977,2010 松竹株式会社

北海道を舞台に、ある事件によって服役していた元炭鉱夫(高倉健)が、「もしかしたら待っていていくれるかもしれない」という期待を胸に、妻(倍賞千恵子)が暮らす夕張に向かうロードムービーです。

監督は、山田洋次監督。旅のお供に、武田鉄矢と桃井かおり。

当時の映画賞を総ナメにした、日本映画史に残る作品です。

 

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再現したい!『幸せの黄色いハンカチ』の名シーン

で、健さん演じる「ザ・寡黙な男」が、事件を起こす前の自分の過去をコラ鉄矢!に語る回想シーンです。

 

スーパーのレジ係をしている倍賞千恵子のことが気になる健さんは、何度か通ううちに顔なじみになります。

が、そこは健さん。なかなか声をかけられない。

 

「あ、これ3割引きで打ってくれました?」と言い出せないワタシよりも言い出せない。

 

そんなある日、千恵子が絶妙なパスを出す。

 

「奥さん、病気なの?」

 

この言葉はそのままに受け取ってはいけない。

「この人、気になるわ。結婚してるのかしら」の意味である。

それを、「奥さん、病気なの?」と。千恵子、なかなかの策士である。

 

「オレ、ひとりもんですよ」

 

と照れながら答える健さん。

ココで終わってはただの照れ屋さんである。もちろん、健さんはただの照れ屋さんではなかった。

千恵子の真意を理解した。

そして、

 

 

「あんた、奥さんですか」

 

 

 

コレよ。

「自分は独身だけど、あなたはどうですか? もしひとり身だったらこの先のなんやかんやの展開を期待してもイイでしょうか?」

くらいビビってんのに、

 

「あんた、奥さんですか」

 

ワタシが千恵子だったら、自分でパスを出しておきながら狼狽しまくって、バーコードを何回もピッピ、ピッピしてしまうわよ。

 

しかし、名女優、倍賞千恵子は違います。

 

「いいえ」

 

の一言。

 

そして、健さん「どうもすいません」

で、フィニッシュ。

 

名シーンを再現できない悲しき現実

「結婚してますか?」は、今の世の中、迂闊に聞いてはならぬことです。

就職の面接でも禁句です。そういう属性で人を判断してはいけない、と。

 

が、健さんの時代、健さんの世界ではそうじゃない。

 

「あんた、奥さんですか」

は、愛の告白なんですよ。

 

スーパーのレジ係の経験はないワタシですが、ちょっとさびれたスーパーに行くたびに、脳内でこの名シーンを再現します。

が、最近は、バーコードをレジの読み取り部分に黙々と通すだけの光景が当たり前となってしまった。

 

「あ、これ3割引きで打ってくれましたか?」なんてことを言わなくても、バーコードがそうなっている。たとえワタシが疑義を申し立てようとも、速やかに却下されるでしょう。

しかも、「支払いは1番精算機でどうぞ」と。

ま、これはこれで、すごく便利でいいんだけど、そこには、

 

「あんた、奥さんですか」

 

が入り込む余地なんてないわな。

 

逆に、

 

あんた、現金ですか」

「あんた、ポイントカードはお持ちですか」

 

って聞かれるまでよ。

 

映画が描いている未来は、実現するのだろうか?

古き良き時代に郷愁をはせたところで、どうにもなりゃしない。

人手が足りないのならレジは無人化した方がいいし、「すれ違いの恋」を予防するためにスマホはあった方がいいし、「逃走犯の早期発見」のためにドライブレコーダーもなくてはならないし。

 

で、この先、さらにこの先。

ワタシたちは何を手にし、何を失っていくのでしょうか。

 


-Photo courtesy of Warner Bros. Pictures

映画『her/世界でひとつの彼女』(2013年)は、人間(男)がOSに恋をする近未来の話です。

OSですよ、OLとちゃいますからね。もちろんLLでも3Lでもないっすよ。

 

姿も形もなく「声」だけのOSサマンサ。

男性(セオドア)は、我が家のアレ〇サとは比べものにならないくらい賢くてセクシーなサマンサと関係を深めていきますが、サマンサがお相手しているのはセオドアだけではありませんでした。

二股とか三股とかいうレベルじゃなくって、トンデモナイ数の恋人がいるんですよ。

恋人(というか、ユーザーね)の特性に応じた対応なんて「A.I」にはお手のもの。

賢くなればなるほど爆発的に恋人が増えていくのでしょう。

 

ちょっと待てい!

なぜそこに「一人だけを愛する」という知能が備わってないの?

ワタシがカワイイおばあちゃんになる頃には、セバスチャンという超賢い「A.I」と暮らしている予定なんだけど、セバスチャンにはあえて毎朝こう言ってほしいわ。

 

「あんた、奥さんですか」

 

◆なかなか切ない映画ですよ

 

『幸せの黄色いハンカチ』のハリウッドリメイク版はこちら

鉄矢の役を、あの貴公子エディ・レッドメインってどういうこと?

 

 

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