映画タイトル:ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから
原題:The Half of It
製作年:2020年 アメリカ
監督 : アリス・ウー
映画『ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから』は、
アメリカの田舎町に暮らす内向的な女子高生と、「ラブレターの代筆」がもたらす三角関係を描いた映画です。青春映画をベースに同性愛や移民問題、文学の引用など多彩な要素を盛り込んだ世界は必見!
キャスト
・リーア・ルイス(エリー・チュー)
中国系アメリカ人の女子高生 頭脳明晰だが性格は内気
・ダニエル・ディーマー(ポール・マンスキー)
エリ―にラブレターの代筆を頼む男子学生
・アレクシス・レミール(アスター・フローレス)
ポールが思いを寄せる女子高生
・コリン・チョウ(エドウィン・チュー)
エリ―の父 英語が不得意で働く意欲を失っている
・キャサリン・カーティン(コリーン・マンスキー)
ポールの母
・ベッキー・アン・ベイカー(ミセス・ヘゼルスハップ)
エリーの学校の国語教師 エリーの文才を認めている
映画『ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから』の見どころと感想
(*ちょっとネタバレありです)

スクワハミッシュという田舎町で暮らす中国系移民の女子高生エリー。周囲に馴染めず友だちもいないエリーは頭脳明晰で文学や映画に精通し文章を書くのが得意。その特技を生かし同級生のレポート作成で小遣い稼ぎをしています。
そんなエリーに、アメフト部のポールがラブレターの代筆を依頼します。断ろうとするエリーですが、ほぼ失業状態でひきこもりの父と暮らす家の家賃が払えなくなる、しぶしぶラブレターの代筆を引き受けます。
ラブレターの宛先はクラス1の美人アスター。が、エリーも密かにアスターのことが好き。
エリ―の書いた手紙によってデートにこぎつけるポール。そのポールに恋愛指南をするうちにポールへの友情が芽生え親友となる2人。が、ある日エリーがアスターに恋心を抱いていることがバレてしまいー。
評)青春映画というジャンルに縛られない多様な描き方が新鮮
三角関係というよくある設定で、そこに同性愛が絡むというのもいまやそれほど珍しいものではないでしょう。が、この映画はとにかく新鮮。
哲学や文学、映画による恋愛ウンチクが豊富なエリーですが、内向的で同性愛をカミングアウトもできず恋愛経験なし。ポールはいいヤツだけれどオツムのほうがちょっとアレ。2人が思いを寄せるアスターもクラスのイケてるグループに所属していながら、みんなとちょっと距離を置きたがっていてー。自分の思いをうまく表に出すことができない3人とその関係性が、哲学や文学、映画の引用を多用しながら丁寧に描かれています。
単なる青春映画や同性愛の映画と括ることのできない映画です。
大人の存在も効いています。失業中の父の再生の兆しや、ポールの母の息子への思い、田舎の価値観におさまらないようにという国語教師の助言。
少々冗長な気もする副題「:面白いのはこれから」ですが、この映画から伝わるのはまさにその気持ち。エリーら3人だけでなく、大人も社会全体もそうあってほしいという願い感じる映画『『ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから』 Netflixでどうぞ。