映画『ファーザー』(2020年)のザックリとしたあらすじと見どころ

ヒューマンドラマ

映画タイトル:ファーザー

原題:The Father

製作年:2020年 イギリス・フランス

監督:フローリアン・ゼレール

映画『ファーザー』は、

認知症を当事者自身の視点で描くヒューマンドラマです。人物や時間、場所をあえて曖昧にし、ともすればホラーになりかねないところをあくまでも人間ドラマとして見せる巧妙さ。アンソニー・ホプキンス、オリヴィア・コールマンほか脇のキャストも素晴らしい。尺(1時間37分)もいい。感服の1本です。

キャスト

・アンソニー・ホプキンス(アンソニー)
認知症の父

・オリヴィア・コールマン(アン)
アンソニーの娘

・マーク・ゲイティス
”男”

・イモージェン・プーツ(ローラ)
ヘルパー

・ルーファス・シーウェル(ポール)

・オリヴィア・ウィリアムズ
”女”

映画『』の見どころと感想

(*ちょっとネタバレありです)

(C)NEW ZEALAND TRUST CORPORATION AS TRUSTEE FOR ELAROF CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION TRADEMARK FATHER LIMITED F COMME FILM CINE-@ ORANGE STUDIO 2020

ロンドンで独り暮らしを送る81歳のアンソニー。認知症の兆候が見え始めたアンソニーを思い、娘アンはヘルパーを雇います。が、気難しいアンソニーはヘルパーを拒否。

そんなある日、アンから恋人と暮らすためにパリに移住すると告げられるアンソニー。
アンソニーの家に突如、見知らぬ男が現れ、ここはもう10年も自分とアンが暮らしている家だという。

アンの姿も見知らぬ女に変わっている。もう一人いたはずの娘ルーシーは!? 


アンソニー・ホプキンスがオスカーを手にした名演が話題となったこの映画。ホントに演技!?と思わせる表情や身体の動かし方はさすがとしか言いようがありません。

が、なんといっても見どころは映画の視点と構成です。認知症を当事者の視点で描く。といっても、監督自身が認知症の当事者ではない。というか、このフローリアン・ゼレール監督、まだ42歳というからビックリ。

本作『ファーザー』は劇作家でもあるゼレール監督の舞台作品『Le Père 父』を映画化したものです。これまで多くの映画で描かれてきた他者目線の認知症。記憶が混乱し、意味不明なことばかり言う。家族の顔や今いる場所もわからなくなる。感情もコントロールできなくなり不安や怒りにさいなまれていく。
この映画はその内面世界を描いていますが、医学や科学の解釈とは異なり、あくまでも主人公アンソニーの人格、人生をたどるもの。アンソニーにしかわかりようのない体験として描いています。シーンを区切ることなく別の場所や時間が変化している映画ならではの表現方法も効果的。そこにリアリティを感じさせられます。

アンソニー・ホプキンスといえば、英国紳士から世紀のサイコパスまで自在に演じ分けてきた名優です。リアリティを追求する、いわゆる”メソッド演技”には批判的立場をとっているホプキンスなので、この映画も100%演技なのでしょう。

娘アンのオリヴィア・コールマンの抑制が効いた演技も見事。若いヘルパーのイモージェン・プーツ、”女”のオリヴィア・ウィリアムズなどの脇役は、この映画の世界に光をもたらしています。

老いていくことへの敬意と畏怖の映画『ファーザー』。2021年のベスト映画の1本です。

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