映画タイトル:冷たい晩餐
原題:The Dinner
製作年:2017年 アメリカ
監督 : オーレン・ムーヴァーマン
映画『冷たい晩餐』は、
あることの話し合いのためにディナーを共にする政治家と妻、弟夫婦を描くスリラーです。
原作はヘルマン・コッホ同名小説。ディナーの進み具合とともに明らかになる4人の抱える問題とはー。
キャスト
・スティーヴ・クーガン (ポール・ローマン)
元歴史教師
・リチャード・ギア(スタン・ローマン)
ポールの兄 上院議員 州知事選に立候補している
・ローラ・リニー(クレア・ローマン)
ポールの妻
・レベッカ・ホール(ケイトリン・ローマン)
スタンの妻
・クロエ・セヴィニー(バーバラ・ローマン)
スタンの元妻
映画『冷たい晩餐』の見どころと感想
(*ちょっとネタバレありです)

雪の降る夜、予約の取れない高級レストランに訪れたスタン・ローマン議員とその妻ケイトリン、スタンの弟ポールと妻のクレア。スタンは州知事選を視野に入れた重要法案の審議で多忙を極めていました。一方、弟のポールは精神を病んで教師を辞め、この日のディナーも気が進まない。
が、この2組の夫婦はある重大な問題に直面していました。
なぜか息子マイケルの携帯電話を持ち出していたポールは、そこに残されていたある事件の動画と、自分には内緒のままそのことに対処しようとしている妻と息子のメールのやりとりを見てしまいます。
携帯に残されていた動画は、マイケルとリック(スタンの息子)がホームレスの女性を暴行し、火をつけて殺害した事実。さらにその動画はスタンの養子ボーによってネットの動画サイトにアップされていることも明らかに。
スタンは事件を公表し子どもたちに罪を償わせるべきだというが、妻たちはこれに猛反対。
こじれる話し合いの中、店を飛び出したポールはー。
評)善悪を超えた人間の強欲さを思い知るしかない
ディナーの最中もずっと落ち着かず毒づいているポール。スタンとケイトリンが養子として迎えた黒人少年のボーに関しても差別的な発言を繰り返します。そんなポールに対し、理解を示す政治家の兄スタン。スタンは精神疾患の治療に関する新しい法案を提出していました。
息子たちが引き起こした事件に対して罪を償わせるべきと主張するスタン。そのためなら政治家生命が絶たれても仕方がないとまでー。これに猛反対するポールの妻クレアは親バカそのもの。後妻のケイトリンもスタンの政治家としてのメンツにこだわっているよう。ポールに至ってはこの問題を冷静に判断することは不可能のようでー。
リチャード・ギア演じる政治家が善人なのか?ちょっと臭いな、 と思って見ていたら、そうきたか、というラスト。さんざん引っ掻き回してきたポールによって「まるで猿のようだ」と形容される面々の人間性にハッとさせられます。
この映画、結構酷評されているんですよね。ま、たしかに子どものしでかしたことの重大さをわかっとるんかいっ! と言いたくなる。心を病んでいるとはいえポールはずっとうるさい。見ていてホントに辟易してしまう。が、これはもう道徳的にどうかということではなく、善悪を超えた人間の強欲さを思い知る、そんな映画として楽しむほかないのでしょう。
それ以上に謎なのはディナーという設定ですよ。一応コース料理に見立てたストーリーの区切りがあるのですが、正直、意味ある?と。 「食べること」とか「コース料理」という設定が何かの暗喩なのか……。
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