映画タイトル:アリスのままで
原題:Still Alice
製作年:2014年 アメリカ
監督:リチャード・グラツァー、ワッシュ・ウェストモアランド
映画『アリスのままで』は、
若年性アルツハイマー症を患った言語学者とその家族の物語です。
少しずつ自分を失っていく主人公アリスを見事に演じたジュリアン・ムーアは、アカデミー賞主演女優賞ほか、この年の主要映画賞を総なめにしました。
キャスト
・ジュリアン・ムーア(アリス・ハウランド)
コロンビア大学言語学科教授
・アレック・ボールドウィン(ジョン・ハウランド)
アリスの夫 医師
・クリステン・スチュワート(リディア・ハウランド)
アリスの次女 女優志望
・ケイト・ボスワース(アナ・ハウランド=ジョーンズ)
アリスの長女
・ハンター・パリッシュ(トム・ハウランド)
アリスの長男 医大生
映画『アリスのままで』の見どころと感想
(*ちょっとネタバレありです)

大学で教鞭をとる言語学者のアリス。3人の子どもにも恵まれ夫とともに充実した人生を送っていました。
しかし、講演中に単語が出てこなくなったり、学校の敷地内で道に迷ったりする症状がみられるようになり、診察の結果、若年性アルツハイマー病と診断されます。病気は遺伝性のもの。子どもたちにも遺伝している可能性が。
家族とともに治療に励むアリス。が、徐々に病状は進行。授業にも支障をきたすようになりアリスは退職を余儀なくされます。
やがて子どもの顔も名前も忘れてしまう。自分を築き上げてきたものが失われてしまう。アリスはそのときに備えて自分自身に向けたビデオレターを準備します。
アリスの病気はさらに進行し、身の回りのことにも介助が必要な状況になります。アリスは、そして家族はー。
評)ありがちな「家族の愛に支えられてー」に着地しない良作
自分が自分でなくなっていくー。アリスは言語学者という設定が認知症の残酷な一面を際立たせる一方、自身や家族にもたらす変化を冷静に描いている本作。
不安や葛藤と同時に欠落していく感情を表現するジュリアン・ムーアの演技はさすがとしか言いようがありません。役柄によって多彩な面を見せるジュリアンだけに、ただ不幸なだけ、かわいそうなだけのアリスにはなるはずがない。見どころはむしろ家族のほう。「ちょっと大丈夫なの? 」と言いたくなる家族です。
経済的にも裕福なためか、アリスの病気の発覚に対しても大きく混乱することはなく、むしろ淡々としている家族。が、はじめは理知的に対処できている彼らも、アリスの病気の進行によってあらためて自分の人生を考えることになるのです。
栄転のチャンスが訪れる夫。病気の妻をおいて、あるいは連れての引っ越しに悩む。「え? アンタ夫でしょ? 」と言いたくなるこの夫にアレック・ボールドウィンはドンピシャ。自分にも遺伝しているとわかり、出産すれば自分の子に遺伝してしまうかもしれないというなかなかの一大事なのに、超美しいだけの長女にケイト・ボスワース。母の反対を押し切って役者になろうとしている次女にクリステン・スチュワート。こちらはなかなか奮闘。そしてまだまだ半人前の長男には見せ場なし。
こんな家族だからこそ、お決まりの「家族の愛に支えられてー」が全面に出ることなく、主人公のアリスが自分自身であり続けようとする姿に光が当たったのかもしれません。
結果、良作となった映画『アリスのままで』。おすすめです。
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