『その名を暴け』ジョディ・カンター/ミーガン・トゥーイー #MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い

本と読書

標的は成功を夢見る女性たち――映画界で「神」とも呼ばれた有名プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインは、長年、女優や女性従業員に権力を振りかざし、性的暴行を重ねてきた。自身の未来を人質にされ、秘密保持契約と巨額の示談金で口を封じられる被害者たち。沈黙の壁で閉ざされていた実態を、ふたりの女性記者が炙り出す!

新潮社HPより引用

『その名を暴け』の内容紹介

2018年5月、ハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインが性的暴行の容疑で逮捕されたことは映画界以外でも大きなニュースとなりました。それ以後、性被害者たちが#MeTooと声をあげるきっかけにもなったのです。

この本は、そのワインスタインの犯罪の実態を暴いたジャーナリストの闘いの記録です。

ワインスタインの性的虐待はどんな人を対象に、どんな手口で行われたかを被害者や目撃者たちの証言から明らかにしていきます。しかし、そこには性被害ならではの問題があり、さらに狡猾な隠蔽工作や妨害行為の実態がー。

口封じされた被害者たち

取材によって明らかになるワインスタインの卑劣な行為。が、被害者たちを苦しめているのは性被害の事実だけではありませんでした。秘密保持契約と示談金によって口封じがなされたうえ、どこかで話題になろうものなら被害者が仕事欲しさに仕組んだことと貶められー。女性たちは被害の事実も、受けた傷さえも吐き出すことができなかったのです。

本書では、ワインスタインと同じように権力をかさに女性を侮蔑し続けているトランプ大統領(当時) に対する取材経過も綴られています。

「なぜ、そのときに声をあげなかったのかー」
性被害の話題がクローズアップされるたびに、こうした意見は男女関係なく発せられます。

が、声をあげることがいかに勇気のいることか、ともすれば政治利用や自分の意思や力が及ばない問題に発展してしまう危険を帯びていることなど、本書は一貫して冷静な筆致によってその難しさを訴えかけてきます。

声をあげてよかったと思える社会に

ワインスタインはニューヨークタイムズの記事を機に、社会的信用を失い失脚します。そしていくつかの事件で禁固23年の有罪判決を受けています。もちろん一連の性犯罪は、ハーヴェイ・ワインスタイン自身が起こしたことです。が、これを長年許してきた会社組織があり、性差別への意識が低い社会があるのです。

勇気を出して声をあげた女性たちが、「声をあげて良かった」と心の底から思える社会は、まだ現実のものではありません。この本はその実現の1歩です。ぜひご一読ください。

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