1963年、ケネディ大統領がテキサス州を遊説中に銃弾で倒れたー。
この事件はアメリカのみならず世界に衝撃を与えました。逮捕された容疑者オズワルドもすぐに射殺され、本当に犯人はオズワルドなのか、真相はいまだ闇に包まれています。
暗殺事件のほか、ケネディ大統領(ジョン・フィッツジェラルド・ケネディ)に関しては多く映画が作られています。映画は事件を、そして大統領をどのように描いているかー。
ケネディ大統領関連映画の見どころをご紹介します。
『JFK』(1991年)
映画『JFK』WarnerBrothers/Photofest/ゲッティイメージズ
まずは、なんといってもこれ。『JFK』です。
舞台はケネディ大統領暗殺事件の後のアメリカ。捜査にあたった地方検事ジム・ギャリソンを中心に暗殺事件の真相を探ります。
オズワルド単独犯行説に疑問を持ったギャリソン検事は、事件の背後にはCIAや軍を含めた国家の陰謀があるとにらみ、関与が疑われる実業家クレイ・ショーを陰謀罪で逮捕し裁判(クレイ・ショー裁判)にかけますがー。
捜査に執念を燃やすギャリソン検事の前に立ちはだかる国家の闇がたっぷりと描かれています。
主人公ジム・ギャリソンを演じるのは当時トップスターのケビン・コスナー。
オズワルドにゲイリー・オールドマン、クレー・ショーにトミー・リー・ジョーンズといった豪華キャスト。 ケネディ大統領関連映画では外すことのできない1本です。
『13デイズ』(2000年)
映画『13デイズ』BENGLASS_31/BEACONCOMM/NEWLINE/TheKobalCollection/WireImage.com
私がケネディ大統領関連映画のベスト1に推すのがこの『13デイズ』。
暗殺事件の1年前(1962年)に起きたキューバ危機を題材にした映画です。
ソビエト連邦(当時)がキューバに核ミサイルを配備していることが発覚。米ソの緊張が一気に高まるなか、核戦争を回避しようとするケネディ大統領。が、国家の中には戦いを仕掛けようとする動きもありー。
ケネディ政権下の複雑な内政状況がよくわかる映画です。これを見ておくと『JFK』ほか、一連の暗殺事件を描いた映画をより楽しむことができるでしょう。
主人公はこちらもケビン・コスナー。『JFK』当時よりも渋みを増したコスナーは大統領特別補佐官を演じています。大統領を演じるのはブルース・グリーンウッド。かなりカッコイイ大統領に仕上がっています。
『ダラスの熱い日』(1973年)
古い映画からは『ダラスの熱い日』を。
大統領暗殺事件はケネディ政権に反感を持つ元CIA高官や元軍人ら首謀グループよる犯行で、それをオズワルドの単独犯行に仕立てた、という「仮説」で描いたドキュメンタリータッチの映画です。
事件からわずか10年後に作られたこの映画。ラストには事件の関係者の多くが不審死している事実を伝えます。 これは本当に「仮説」なのかー。
『パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間』(2013年)
ちょっと異色な1本の『パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間』。
大統領暗殺事件の直後4日間を描いた映画です。
ダラスのSPや、事件を8㎜フィルムで撮影していたアマチュアカメラマンのサプルーダー、襲撃後の処置にあたった医療スタッフ、犯人として逮捕されたオズワルドの家族など、ほかの映画では光の当たらない存在を描いています。
出演はSPの責任者にビリー・ボブ・ソーントン、サプルーダーをポール・ジアマッティ、医師をザック・エフロン。
映画自体は派手さに欠け、事件の全体像がつかみにくい印象も。『JFK』他で事件の大筋を理解して見ることをおすすめしたい1本です。
『LBJ ケネディの意志を継いだ男』(2016年)
映画『LBJ ケネディの意志を継いだ男』(C)2016 BROAD DAYLIGHT LLC ALL RIGHTS RESERVED.
暗殺事件を別の角度から見るならこちらの『LBJ ケネディの意志を継いだ男』を。
ケネディ大統領の暗殺を受け、大統領に就任したのは当時副大統領のリンドン・B・ジョンソン。この映画はそのジョンソン大統領を描いています。
国民の絶大な人気を得ていたケネディに比べ、テキサス生まれで(民主党の中でも)保守的なジョンソン。前半は結構イヤな奴として描かれていますが、大統領就任後にはケネディの意志を継ぎ公民権法の制定ほか、「偉大な社会政策」を成しえた人物として描かれています。
そのジョンソン大統領を演じるのはウディ・ハレルソン。出自からもヤンチャなイメージの強いハレルソンですが、この映画では特殊メイクで違和感なく大統領を演じています。
『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』(2016年)
映画『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』Fox Searchlight Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ
最後はこちら。ケネディ大統領の妻ジャクリーン・ケネディを描いた映画『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』。
暗殺により夫を亡くした後にインタビューに答えるジャッキーと、その回想によるファースト・レディ当時の姿が描かれています。
亡き夫の大統領の名誉を守ろうとするジャッキーの美談の映画かと思いきや、そうじゃない、いやそうだったらつまらない。ファースト・レディとしてだけでなく、アメリカ中の女性の憧れであった一方、夫同様に難しい立場にあったジャッキー。夫を失いホワイトハウスを追い立てられるように去ることになり、最後に守るべきは夫の名誉と家族の命、そして自分自身のメンツだったのかもしれません。
その複雑な心境をナタリー・ポートマンが巧みに魅せてくれる映画です。
まとめ
ケネディ大統領暗殺事件に関し、いまだ一部が機密文書とされているアメリカ。
トランプ氏は大統領就任中に全面公開を指示しましたが、CIAやFBIの反対により公開は見送られることになりました。
今後、真相は明らかになるのか、それを映画はどう描くのか、楽しみです。