映画タイトル:あるスキャンダルの覚え書き
原題:Notes on a Scandal
製作年:2006年 イギリス
監督:リチャード・エアー
◆映画『あるスキャンダルの覚え書き』は、
ロンドン郊外の労働者階級の中学校に赴任してきた美術教師シーバと、お局教師バーバラの危険な関係を描いた心理サスペンス映画。
アメリカで実際に起こった事件をもとにした小説を映画化したものです。
◆キャスト
・ジュディ・デンチ(バーバラ・コヴェット)
中学校のベテラン教師。厳格で同僚や社会に対しても常に批判的。
独身で孤独な生活を送っている。
・ケイト・ブランシェット(シーバ・ハート)
新任の美術教師。夫と娘、ダウン症の息子と幸せに暮らしている。
・ビル・ナイ(リチャード・ハート)
シーバの夫。シーバは元教え子で、不倫の末、結婚に至る。
・アンドリュー・シンプソン(ステーヴン・コナリー)
シーバといけない関係に陥る男子生徒。
◆映画『あるスキャンダルの覚え書き』の見どころと感想
(*ネタバレありです)
-映画「あるスキャンダルの覚え書き」公式サイト
労働者階級の学校に不釣り合いな美人教師シーバが現れたことから、このおぞましい物語は始まります。
定年間近のベテラン教師バーバラは、シーバに興味を抱きます。
バーバラにしてみれば、フツーに「友達になりたい」という感覚なのかもしれませんが、その行動は異様。シーバのことを観察しては日記に綴り、私生活を妄想しては日記に綴り―。
あることを機にふたりは親しくなり、バーバラはシーバの家に招かれます。
家族も紹介され、友達として受け入れられた充足感があったはずー、ですが、バーバラはそんな素直なオバサンではありません。
シーバは想像に反し波乱の人生を歩んでいること(略奪婚、息子はダウン症)を知ったバーバラは、自分がその相談相手になり「対等の関係」になることで喜びを感じるようになります。
しかし、ある日友達と思っていたシーバが、生徒を関係を持っている「現場」を目撃してしまいます。
問い詰めるバーバラに対し、「なぜ快楽におぼれてはいけないの」と、関係を清算できない辛さ(というか甘さ)を見せるシーバ。バーバラのシーバへの関心は、やがて執着に変わっていきます。
バーバラの唯一の家族であった愛猫が死に、シーバにその埋葬に付き合ってほしかったバーバラですが、シーバは家庭の都合を優先しこれを拒否。
このことをきっかけに、ふたりの関係は崩れていきます。
男子生徒との関係が白日のもととなり、シーバは職場からも家からも追われることに―。
しかし、それがバーバラの作為であることを知らないシーバはバーバラを頼り、家に囲われます。
そこで、バーバラはふとしたはずみで、「バーバラの日記」を発見。
バーバラのゆがんだ愛情にようやく気が付いたシーバは、バーバラのもとを離れ、家に戻ります。(その後裁判で実刑判決)
で、バーバラは新たなお友達に接近―。
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女性の観察力と想像力、そして執着心の怖さをあらためて実感させる映画です。
女性同士って、「どんな関係か」だけでなく、その人が「どんな人なのか」という興味や想像を含む評価が、関係性に強く影響しているように思います。
バーバラほどではないけれど、ものすごく人のことを知りたがるオバサンっていますよね。
職場やご近所では「情報通」と言われているかもしれませんが、その情報がオバサンの興味と想像によって日々生み出されていると考えると、ちょっと怖くなります。
◆ネットでも要注意!
一方、シーバはあまりにも節度がなさ過ぎて、全方面ほぼノーガード。これはこれで厄介ですがー。
こんな両極端の女性像を、ジュディ・デンチとケイト・ブランシェットが見事に演じています。