映画のネタバレ対策/自分の「読み」を鍛え直す/字幕とか脚本とか

まんざらでもない日記

2022年1月11日

人気映画のネタバレをめぐってネットが騒がしい。件の映画(マーベルのアレです)自体には興味がないけれどネタバレをめぐる騒動には興味がある。

ちょうど読んだ山田洋二監督が映画『幸福の黄色いハンカチ』(1977年)を振り返るインタビュー。(朝日新聞:山田洋次監督が語る「幸福の黄色いハンカチ」もう日本で撮れない理由 *一部有料です)そこにこんな一言が。

映画の宣伝のポスターを作るとき、ラストシーンの黄色い旗を出したら「ネタバレになってしまう」と言われ、すごく腹が立ったんですよ。僕は、ネタバレしたから見なくていいというような映画を作ってんじゃないと言った。最後に黄色いハンカチがいっぱいある映画だ、いい映画だ、それを見に行こう、となぜ思わないのか。


これよ、これ! 山田監督のお言葉をお借りします。

「私は、ネタバレしたから見なくていいというような映画を見てんじゃない。」

もちろん「事件の真相はまさかの!」とか「犯人は意外なあの人!」といったネタバレしてしまっては身も蓋もないタイプの映画もある。が、なんでもかんでもネタバレ、ネタバレと騒ぐのもどうかと。

騒動となっているマーベルのアレにどんなネタが仕込まれているのかはわからないけれど、「うっかりネタバレに触れる前に見に行こうね」という流れや、海外発の尖った考察が話題になっているあたりを見ると、こりゃ一種のキャンペーンなのではとも思えてくる。

ネットを利用する以上、情報を遮断することはもはや不可能。事前にどの程度の情報に触れるか、ネタバレをどうやって回避するか、など、見る側が身につけていかなければならないテクニックなのかもしれない。


で、ここからは見る側ではなくレビューを書く側としての話。

私はブログやSNSに映画の「ザックリとしたあらすじと見どころ」や読んだ本の感想を書いている。これを「映画評」や「書評」と言わないのは、「え、この程度で批評?感想文じゃん」という指摘を回避したいショボい心の表れにほかならない。

そんなひ弱な心をハッとさせたとある炎上。

書評家の豊崎由美氏が「TikTokみたいな、そんな杜撰な紹介で本が売れたからってだからどうした。(中略)あの人、書評書けるんですか?」とツイート。こう揶揄されたけんご氏は、これがもとでTikTokでの本の紹介をやめてしまったという。去年の12月の話。すでにほどよく鎮火しており、ネット識者による考察も込みで興味深いものだった。

「若い人の芽を摘む老害」という指摘。豊崎氏自身はかつて新進気鋭の書評家として前時代の作品たちをメッタ斬りにしてきた。そのさまを面白く読んでいた身としては鼻の奥がツーンとした。まさに時代の変化。

が、ホントにグサっときたのはココ。「あの人、書評書けるんですか? 」 
映画評論家の町山智浩氏はこれを職業的プライドに根ざした思いと受け止め、「批評や評論は、作品解読に必要な研究と、それをまとめる創造的な文章力を必要とする、ひとつの作品である。<中略>が、それを意識してない人達には、まるで通じない。」とツイート。

しかし、これは炎上に薪をくべる一言になった。「ひとつの作品など思い上がりじゃねーか!」「書評とか映画評とか、批評ってそんなに偉いんか!?」という批評家批判や不要論の声が上がった。

批評や批評家が、何かを誰かを叩くこと、さらには叩いて改めさせるキャンセルカルチャーの旗振り役のような位置づけにされつつある。が、それは違う。ただ偉そうに思われたくなくて「書評」とか「映画評」と書けないショボい私にもわかる。批評はそんなことじゃない。

批評の起点は「精読」にある。TikTokやYouTubeでの本の紹介は杜撰で簡単に見えるかもしれない。が、メディアの性質上簡単に見えているだけで、雑な「読み」や誤読だらけじゃ、そうそう人の興味を引くコンテンツは作れないだろう。

私が自分が書くものを「書評」とか「映画評」と自信を持って言えないのは、「読み」(映画も同じ意味で)の不充分さを自覚しているからだ。まずは「精読」。自分の「読み」を鍛え直そう。


話はちょっと変わって映画に関する文章本を2冊。

1つは映画字幕の話。イイとか悪いとか気にもせず、あたりまえに目にしている映画字幕。が、実は知らないことだらけ。30年以上も海外映画を見ているのに、翻訳家といえば超有名な戸田奈津子さんくらいしか思い浮かばない。

そんな映画翻訳にまつわる苦労話や面白話が満載のエッセイを読んでいる。著者は太田直子氏。すでに故人(2016年没)なのが残念でならない。

もうひとつは脚本の話。ハリウッド映画の脚本には一定の法則があるという切り口の1冊。

今日の日記は「見る」「読む」「書く」ばかりになった。が、これが楽しい。映画を見て、本を読んで、文章を書くー。ずっと続けていきたい。

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