胸毛のあるなしを見分ける 答えなき「問い」への対処法

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世の中には「答え」がないことがたくさんあります。

そうとは分かっていても、なにか「答え」となるものが欲しいー。そう思ってたどり着いた「答え」には、「そうそう、これよ!私が求めていた答えはコレなのっ!」と心酔しがちです。

そうやって一度ハマってしまうと、なかなか他の意見を受け入れらなくなります。

 

しかし「答え」がない問題は、「答えがないもの」として、その混沌とする状況を受け入れることも必要です。

「この問題には答えはないのかもしれないー」に直面したときにはどうすればいいのか。

 

私と元同僚Sによる「胸毛問題」で解説します。

 

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介護士Mには胸毛があるのか?ないのか?

数年前、某介護施設で勤務していた私とSは、男性介護士Mの手の甲にトンデモナイ密度の「毛」が生えていることを発見しました。

 

「見た?アレ、スゴイよね」

「うん、あれは感染対策的にも要注意ね」

 

など、看護師らしいことを数リターン繰り返したところで、関心は「胸毛」にー。

 

「ってことはよ、胸毛もスゴイよね」

「たしかに、可能性は高いね」

「うーん……、どうする?」

 

どうする?

一緒に働く仲とはいえ、Mは赤の他人です。その胸に毛が生えていようがなかろうが、私とSには何の関係もないはず。

しかし、この疑問をこのままにはしておけない。私とSの看護師としての探求心が、勤務史上最大に発揮されることになったのです。

 

「入浴介助中に、突然、ワサーって見えたらどうする?」

「それはマズイ。冷静沈着な私のイメージが崩壊しかねん。そこにあるものとして覚悟しておくしかないね」

「うん、でも、そう思ってたのに実はツンツルテンやったら、それはそれで『ないんかーい!』ってガッカリするよね」

「え?ガッカリ? S、そっち派?」

 

私は毛深いのは苦手なので、マジで覚悟しておこうと思ったのですが、Sは完全に怖いもの見たさ。

とにかく、Mに胸毛があるのかないのか、これをハッキリしておかねばならない事態に(勝手に)陥りました。

 

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胸毛の「あるなし」をどうやって見分けるか?

では、どうやって胸毛のあるなしを見分けるのか。

私とSは長年培ってきた看護師としての洞察力と、やや不足気味の医学知識を駆使して考えました。

一般論でアタリをつける

「男性ホルモンが活発な人ほど毛深い」

これは医学的にもホントの話で、テストステロンを代表とする男性ホルモンは、筋肉や骨格、体毛の育成を促す働きがあります。

 

Mはそれほど背は高くはありませんが、胸板は厚くガッチリとした体格で、顔立ちも濃いほう。

そして、ことの発端となった「手毛」以下、目視で確認できる部位の「毛」は総じて濃いめです。

 

ちなみに、男性ホルモンが活発な人はハゲる、もうすでにハゲている、という説もあります。

しかし、男性型脱毛症には生活習慣やストレスなどが強く関与し、男性ホルモンだけで判断するのはいかがなものかという意見により、Mのワッサワサな毛髪状況と胸毛の有無は「関与ナシ」としました。

失礼ながら、Mはオシャレに縁遠いタイプ。

手毛や眉毛がボーボーなのに、胸毛だけ処理しているなんてことは考えにくいー。

 

これらのことから、一般論的にMはクロ、「胸毛アリ」と推測しました。

調査を実施する

「一般論でクロであっても、真実はわからん」

「そうよ、このままでは誤認逮捕、冤罪につながるわ」

 

私とSは、Mに胸毛があるかないかの決定的証拠をつかむべく調査に乗り出しました。

介護士として優秀なMは、日々汗だくになって働いています。

勤務中も何度かユニフォームを着替えているようですが、引田天功並みの早着替えのため、現場をおさえることはできません。同じ男性職員の目撃証言をとろうかと思いましたが、そうすれば私とSは「変態」の汚名は免れぬー。

Mが使用するデスク回りに、胸毛と思わしき残留物がないかチェックするという「ソフト変態」にとどめるしかなく、調査は早々に手詰まりとなりました。

 

「もう、いっそ直接聞いてみよっか」

もはや、知的(?)好奇心を抑えられないS。

「なんて聞く?『Mさん胸毛生えてます?』って聞ける?『ボーボーですか?モジャモジャですか?』って聞ける?」

そもそも、それが出来たらこんなに困らんじゃろうて。というか、何に困ってんの、私たちー。

 

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私たちの胸毛問題とは何だったのか?「問い」の確認

怒涛の調査から数週間が経ち、おそれていた「介護中に胸毛ワッサー事件」も起きず、Mの胸毛に対する関心がすっかり薄れた夏のある日、私とSは奇跡的に「Mに胸毛がある」という確証を得ました。

 

薄手Tシャツ1枚で職場近辺をウロついているMを発見(もちろん下ははいています)。

 

「あ、ねぇ、見た?見た?」

「うん、見た。間違いないわね」

「あの胸のフォルム。間違いないね」

 

私とSは、灼熱の交差点で信号待ちをしているMのTシャツが、風もないのに浮き上がっていることを見逃しませんでした。

 

「胸毛でシャツが浮き上がるー」

思いもしなかった現象が、Mの胸毛の存在を決定付けたのです。

 

「Mってさ、実は胸毛自慢したいんじゃない?」

「ナニソレ、まさかのS〇Xアピール!?」

「うん、胸毛のある人って性欲が強いって言うやん」

「いやいや、S、それは言い過ぎ。ハッキリしたことは『Mに胸毛がある』という事実だけよ。これだけで『胸毛界』のすべてをわかったと思ったら大間違いよ」

「そうね、まだ、胸毛の毛先に触れただけよね」

 

あらためて私たちの「胸毛問題」がなんであったかを振りかえりました。

「心の準備のないところで、Mの胸毛に直面したらどうするー」

これが、私たちの「胸毛問題」の本質です。

 

このことに対しては、Mに胸毛があるかないかを充分すぎるほど激しく妄想したため、どんな状況下でMの胸毛に直面しようとも、もうたじろぐことはありません。「出たわね」の一言と同時に、その胸毛を鷲摑みし、むしり取ることだってできましょう。

私たちは、本来の問いに対しては、すでに「答え」を得ていたのです。

M以外のすべての男性の胸毛があるなしを見分けようとか、それよって性欲を測ろうとか、そんな大それた「問い」ではなかったはずです。

 

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まとめ 答えなき「問い」への対処法

「答えのない問題」に直面したときには、できるだけ多くの材料(情報や状況)を分析して現状の「最適解」を見つけるしかありません。

少ない情報で無理に判断しようとすると、「なぜそれが今の自分にとって問題なのか?」という「本来の問い」を見誤りがちです。

 

また、「良いか悪いか」「好きか嫌いか」「向いているか向いていないか」のように、極端な二元論に置き換えたり、「胸毛のある男はー」のように、主語を大きくすることも、本来の問いを見失う原因です。

「これよ!私が求めていた答えはコレなのっ!」という自分の理想の答えを得てしまうと、簡単に手放すことはできなくなります。

 

現状の「最適解」だって、この先もずっと「最適」であるとは限りません。

常に「最適解」を更新しながら、答えのない混沌とする状況を「受け入れる力」を養ってくしかないのです。

 

Mの胸毛のように、シャツを押し上げるほどの力をー。

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