映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』(2019年)のザックリとしたあらすじと見どころ

歴史ドラマ

映画タイトル:赤い闇 スターリンの冷たい大地で

原題:Mr. Jones

製作年:2019年 ポーランド・ウクライナ・イギリス

監督:アグニェシュカ・ホランド

映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』は、

世界恐慌下のソビエト連邦がウクライナに対して行った人工的な飢饉(ホロモドール)の実態を世界に報じたイギリス人ジャーナリストのガレス・ジョーンズの物語です。潜入取材でジョーンズが目にした凄惨な光景。しかしソ連の情報統制は外国人ジャーナリストにも及びー。

キャスト

・ジェームズ・ノートン(ガレス・ジョーンズ)
イギリス・ウェールズのジャーナリスト

・ヴァネッサ・カービー(エイダ・ブルックス)
ニューヨーク・タイムズ モスクワ支局記者

・ピーター・サースガード(ウォルター・デュランティ)
ニューヨーク・タイムズ モスクワ支局長

・ケネス・クラナム(デビッド・ロイド・ジョージ)
イギリス首相

・ジョゼフ・マウル(エリック・ブレア/ジョージ・オーウェル)
小説家

映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』の見どころと感想

(*ちょっとネタバレありです)

(C)FILM PRODUKCJA – PARKHURST – KINOROB – JONES BOY FILM – KRAKOW FESTIVAL OFFICE – STUDIO PRODUKCYJNE ORKA – KINO ŚWIAT – SILESIA FILM INSTITUTE IN KATOWICE

第一次世界大戦後の1933年。世界はアメリカに端を発した世界恐慌に見舞われていました。
そんな世界の中で唯一繁栄続けるソ連。そのことに疑問を持ったイギリス人ジャーナリスト、ガレス・ジョーンズはソ連の指導者スターリンへのインタビューをしようと単身ソ連に乗り込みます。

知人のジャーナリストのポールの不審死、ニューヨーク・タイムズ モスクワ支局長でピューリッツァー賞を受賞した記者しているのデュランティジャーナリストらしからぬ態度。スターリンへの接触は到底不可能な状況の中、ニューヨーク・タイムズの記者エイダからもたらされた情報を手掛かりにジョーンズはウクライナに向かいます。

そこでジョーンズが目にしたのは極限の寒さを飢えでした。

路上には死体が転がり、わずかな食べ物を奪い合う人々。ジョーンズ自身も食べるものがなくなり、命からがらたどり着いた民家は子どもしかおらず、そこで出された食事はー。

ウクライナで何が起こっているのか尋ね回るジョーンズは当局に捕らえられモスクワで収監されます。そこにはイギリス人技師5人が捕らえられており、飢饉の実態を報じれば5人の命は助からないと脅され釈放されます。

真実を報じるべきか悩むジョーンズは紹介された小説家ブレア(ペンネーム、ジョージ・オーウェル)から「真実を伝えるべきだ」と告げられます。

しかしジョーンズの言動を”誇張”だ、”嘘”だとデュランティらマスコミは取り合わず、さらにはロイド首相も自国の安全を優先するために及び腰。地元ウェールズに左遷され、地方ネタ担当となった失意のジョーン。

そこである出会いがー。

評)史実をふまえ、こころして見るべきアグニェシュカ・ホランド監督の力作

映画の作りはさておき、まず史実をザックリと確認です。

ホロドモールとは、ソ連がウクライナに対して行った人工的な食糧飢饉で数百万人の餓死者、犠牲者を出したと言われています。

ロシア革命(1917年)によって社会主義国家となったソ連は農業集団化政策を展開します。自営の農地は没収され課せられる無理な収穫高と天候不順による凶作。が、重工業化を進めるための外貨獲得としてこの政策は続けられ、やがてはウクライナ民族i対するジェノサイド(大虐殺)となっていきます。

そして、この映画にあるようにその事実が報じられることはありませんでした。

とにかくこの事実が重い。極限の寒さと飢えを描いた”色のない”シーンは鮮烈です。
が、これはあくまでもジョーンズがその事実を報じることに焦点をあてた作品であり、ホロドモールの描き方には非常に抑制が効いています。

その一方でジョーンズの周辺はドラマチック。障壁となるデュランティやロイドの存在感、終盤に登場する新聞王ハースト、おまけに女性記者エイダ(ドラマ『ザ・クラウン』で女王の妹マーガレット王女を演じたヴァネッサ・カービー、おキレイです)との恋愛ドラマまであり。

で、さらにこの映画の冒頭からナニやら書いている人物は誰? 後のジョーンズ? と思わせておいて、そうか!ジョージ・オーウェルか。これが『動物農場』になるのか、とわかる脚色がニクイ。

こんな映画的な面白さがかえって重苦しい事実とのギャップを際立たせるし、全編ジョーンズの焦燥感を表すかのようなカメラワークで見終わった後はグッタリ。

監督はポーランドを代表する女性監督アグニェシュカ・ホランド。この作品には師匠アンジェイ・ワイダ譲りの反骨精神が現れています。

ジョーンズを演じるのは他作ではちょっと影の薄い印象のジェームズ・ノートン。本作では熱演です。そして曲者ピーター・サースガード。

2022年2月ロシアがウクライナに侵攻したことで再び脚光を浴びる映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』 こころして見るべし、の1本です。

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