『映画でわかる世界と日本』/幽霊と悪魔の違い/諸行無常の響きあり

まんざらでもない日記

映画を見るときに土地勘や時代背景、政治事情などがよくわかっていない問題。
ま、そういった問題に関係なく楽しめる映画はたくさんあるけれど、実話に基づいた話や実在の人物を描いた映画ではわかっているにこしたことはない。

『映画でわかる世界と日本』(佐藤忠男・著)は、タイトルは「映画でわかるー」となっているが、「映画がわかるー」書でもあった。映画に描かれるヒーロー像の変遷は、まさに現代社会の歴史そのもの。アメリカ映画と日本映画の対比も面白く読んだ。

 

 

この本によるとホラー映画も時代や文化思想を大きく反映しているという。

日本映画では怪談という伝統的なホラーがある。
お岩さん(東海道四谷怪談)やお菊さん(番町皿屋敷)は男に騙されたり陥れられて死んで幽霊になった。恨む相手は騙した男ら関係者に限定している。
恨む理由もわからんでもないし、なんなら同情すらしてしまう。幽霊はちゃんと供養すればわかってくれる相手なのだ。

一方、西洋の悪魔は相手を選ばない。悪魔は人間ではなく神と対立する存在なので、人間が理解を示そうとも供養しようともわかってくれる相手ではない。神や悪魔は絶対的な存在なのだ。

が、1990年代後半の ”Jホラーブーム” で台頭してきた『リング』の貞子は、幽霊的恨みを基盤としながら、関係のない人まで恨みの拡散する化け物化した存在と解説する本書。なるほど。

 

 

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大統領選挙の敗北が濃厚になったトランプ氏。

人気ドラマ『アメリカン・ホラー・ストーリー』のシーズン7「カルト」(2017年) は、2016年の大統領選挙の話題から始まる。トランプ氏の勝利に驚愕、絶望し、壊れてしまう主人公(サラ・ポールソン演) が印象的だった。

大統領は神でも悪魔でもないけれど、日本の首相よりは「絶対的な存在」なのだろう。

で、今回の選挙で敗北した(本人はいまだ認めず)トランプ氏。
強烈な自国主義によってアメリカ国内の分断をより深刻なものにしてしまった4年間だった。しかし、4年前にトランプ氏を大統領にしてしまった背景、土壌があったこと、それは今でも変わっていないことを忘れてはいけいない。

日本とて同じ。腐敗政治がイヤで政権交代はしたものの、結局もとに戻ってしまった。
いや、同じではない。この世の万物は常に変化して、ほんのしばらくもとどまるものはない「諸行無常」なのだ。

そんな日本人らしい納得でいいのか悪いのか……。

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