映画タイトル:マザー!
原題:Mother!
製作年:2017年 アメリカ映画
監督:ダーレン・アロノフスキー
映画『マザー!』は、
郊外の一軒家で暮らす詩人の妻を襲う驚愕の出来事を描いたサイコホラーです。次々に起こる「不可解」で「不愉快」な出来事は、体験なのか、それともなにかの象徴なのかー。
日本での公開が急遽中止になったことが話題となった映画です。
キャスト
・ジェニファー・ローレンス
詩人の妻 郊外の廃屋を改装ながら暮らしている
・ハビエル・バルデム
スランプ気味の詩人 書斎に美しいクリスタルを飾っている
・エド・ハリス
夫婦の家を訪ねてくる男
・ミシェル・ファイファー
男の妻
映画『マザー!』の見どころと感想
(*ちょっとネタバレありです)
(C)2017, 2018 Paramount Pictures.
郊外の一軒家に暮らす夫婦。夫が詩を書くことに専念できるよう、静かな暮らしを送っています。
そこに突如現れた謎の男。妻は難色を示しますが、夫は「放り出すことはできない」と、男を泊めることにー。
翌日にはその男の妻がやってきます。この妻も図々しく家に上がり込み勝手なふるまいを始めます。さらに2人の息子が現れ、この家で起こした騒動から事態はさらにトンデモナイ方向にー。
評)この世界で繰り返される災いはこんなにも醜い
途中で、「ん?これは、何が起きてるの? まさか夢落ち的なヤツ?」と不安になってしまいましたが、いつまでたっても落ちない。ずーっと詩人の妻(ジェニファー・ローレンス)にとって不可解で理不尽な出来事が続き、どんどんエスカレートしていきます。
で、この映画、役名がないんですよ。みんな名前がない。
この点も「なにかの暗示感」がプンプンするわけですが、以下、わかりやすさを重視して役者の名前で解説します。
ミシェル・ファイファーに意地悪を言われながらも、念願かなって懐妊したジェニファー。
スランプを乗り越え絶賛される詩を書きあげたハビエル・バルデム。
が、そのお祝いに駆け付けたものすごい数の群衆が、これまた勝手なふるまいを続け、食べ散らかし、壁を塗り、家を破壊ー。最後は兵士まで登場する中、ジェニファーは出産します。
もうこのあたりで、これは何かを象徴した話か、宗教的な話か、『ローズマリーの赤ちゃん』的なアレかー、という思いに着地します。
で、こんな大騒動になっても事態を収拾しないどころか、神のように祭り上げられるハビエル・バルデム。そりゃそうよ、フツーの夫じゃないことは最初からプンプン匂ってます。歳も離れすぎているし。なんといってもハビエルだもの。バルデムだもの。ハビエル・バルデムだもの。
ジェニファーは赤ちゃんだけは必至で守ろうとしますが、その赤ちゃんもー、最後は、ジェニファーもアレされて、体内からアレが取り出され、話が冒頭に戻るというしくみです。
どうやらこれ、旧約聖書・新約聖書の世界を表した話のようで、
やられっぱなしジェニファー=マザーが、「大地、地球」
不気味詩人ハビエルが、「創造主、神」
最初にやってくるわけありのエドが、「最初の人類アダム」
その妻の元祖イイ女ミシェルが、「イブ」
2人の息子は「カインとアベル」
この家で起こる騒動は、「人類が起こす戦争や暴力」
ーなるほどね。この世界で繰り返される災いー、なるほどね。
かなりグロい表現もあって、見た後は確実にいやーな気分になる映画。
ジェニファー・ローレンスのナチュラルな美しさだけが救いどころの1本です。
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