映画タイトル:マンチェスター・バイ・ザ・シー
原題:MANCHESTER BY THE SEA
製作年:2016年 アメリカ
監督:ケネス・ローガン
◆映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』は、
兄を失った主人公の男(ケイシー・アフレック)が、兄の息子(ルーカス・ヘッジズ)の後見人となったことを機に、過去の大きな喪失と向きあう姿を描いた映画です。
過去の喪失とは何か、それを抱えたままどう生きていくのか―。
冬のマンチェスターを舞台に、心の深い傷を抱えながらも生きていこうとする姿を描いた人間ドラマです。
◆キャスト
・ケイシー・アフレック(リー・チャンドラー)
ボストンで便利屋をしながら一人で暮らしている。過去のトラウマにより、心を閉ざして生きている。兄の急死により故郷マンチェスターに戻る。
・カイル・チャンドラー(ジョー・チャンドラー)
リーの兄。持病の心臓疾患により急死。妻とは離婚しており、息子と二人暮らしだった。
・ルーカス・ヘッジズ(パトリック)
ジョーの息子。16歳の高校生。アイスホッケーやバンド活動、女子との交際に明け暮れる普通の高校生。
・ミシェル・ウィリアムズ(ランディ)
リーの別れた妻。リーとの過去に大きなトラウマがある。
◆映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』の見どころと感想
(*ちょっとネタバレありです)
-(C)2016 K Films Manchester LLC. All Rights Reserved.
ボストンで便利屋をしているリーは、兄ジョーの死をきっかけにマンチェスターに帰郷。ジョーは、自身の死後の準備をしており、息子パトリックの後見人をリーに、という遺言を残していました。
リーは、しばらくマンチェスターにとどまりパトリックと過ごしますが、そこはリーにとって居心地のいい場所ではありませんでした。
この土地にまつわる過去が大きな喪失感となっており、未だそのことに向き合うことすらできないリー。一方、淡々と日常を過ごしながらも、突如、父の死を思い出してパニックを起こすパトリック。
2人が微妙な距離間で支え合い、それぞれの喪失を乗り越えようとします。
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この映画には、「がんばって悲しみを乗り越えよう」という前向きなメッセージはありません。
むしろ、人には簡単に乗り越えられない深い悲しみがあること、そしてそのこととどう向き合うか、を静かに問いかけてきます。
全編に渡る静かな演出と、ケイシー・アフレックの悲哀に満ちた演技は見ごたえ充分です。
この映画はマット・デイモンが製作に携わったことも話題になりましたが、当初は、マット自身が監督、主演を務める予定だったとか。
スケジュールの都合がつかず、幼なじみのベン・アフレック(『グッドウィル・ハンティング』で共にアカデミー賞脚本賞を受賞)の弟ケーシーが主役の座に。
そのケーシー・アフレックの好演が光る1本です。