2023年3月6日
うららかな春の毎日。いつものように週1の日記を書けばいいものの、そうはいかない気持ちになっています。
LGBT関連の法整備をめぐってSNSをはじめネットでは多くの意見が飛び交っています。意見が先鋭的になりがちな場であえて自分の意見を言うことはないにしても、なんとなくこの話題を避けているような気持ちがして、これはよくないな、と思ったのです。
この問題、自分はどう思うのかを考えてみました。
タイトルに挙げているとおり、私の結論は「LGBT理解増進を望みます」です。
「同性婚」から「トイレは、銭湯は、更衣室はどうすんだ!?」という問題まで。
基本「映画ブログ」なので、映画の話題も盛り込みながら、の意見表明です。
私はLGBTに理解があると思っていた
私はシスジェンダーの女性です。
「女性らしさ」の呪縛にかられることなく、男性嫌悪もなく、いかなる差別もせず、他人の権利に寛容に生きてきたと自負してきましたが、ここ数年「それは鈍感なだけじゃないか……」と思うようになりました。
このブログのLGBT映画のレビューも「差別はあってはならない」と批判したものばかり。「自分はLGBTに理解がある」と思ってきました。
が、昨年読んだこの本で、差別の根っこはかなり深いところにあると知ったのです。
SNSで、
”悪気はない、むしろ「差別なんてしないよ」の中に埋め込まれた無意識の差別、マイクロアグレッション。興味深いのは”加害者”に与える影響を解説した6章。「差別なんてない」が膨らんでいくのは個人的にも社会的にもヤバい。”
なんてことをつぶやいていますが、この本のレビューは書いていないんですね。日記でも触れていません。おそらく”流した”んだと思います。
LGBTの問題は私にとっては”流せること”なのか?
ホントに理解ってなんだろう?
女性下着売り場の男性店員にモヤる
そんな先日、とあるスーパーの女性下着売り場で男性の店員と居合わせました。
「なんで男の店員?」 と思い、別の女性店員に苦情の一つでも言おうかと思ったのですが、もちろん言わずにその場を離れました。
しばらくモヤモヤしていたのですが、よく考えてみたらあちら(男性店員)は普通に仕事をしていただけ。棚の商品を揃えたり、欠品がないか確認したり、「いらっしゃいませ」と声をかけるものの客の邪魔にならないように気を配ったりー。
そんな店員に対し、「男なのにー」と警戒し、「いやらしい」とさえ感じた自分。これこそが差別の根っこ、偏見じゃないかと思ったのです。
「LGBT理解増進法」とは
で、件の「LGBT理解増進法」です。
正式には「性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に関する法律案」という名称です。
現行法として2004年に成立した通称「性同一性障害特例法」(正式には「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」)がありますが、同性婚も認められていないし差別も禁止されていない。先進諸国に比べ法整備が遅れている、迫るG7のホスト国なのにマズい、という背景も相まって自民党が出した案が目下物議となっている「LGBT理解増進法」です。←この理解で大丈夫? ですよね。
2016年、東京オリンピックを前に同種の法案成立が進んでいましたが、一部の保守系議員の「差別だと訴える訴訟が増える」という猛反対によって見送られた経緯があります。
勃発!「トイレ・銭湯・更衣室はどうする問題」

「差別だと訴える訴訟が増える」、まさにココが争点です。
LGBTに対して疑問や違和感を示しただけでも「差別だ」と訴えられかねない。今の見た目での「男・女」で分けられた社会が、他者からは判別しようのない「性自認」による「男・女・どちらでもない」で分けることに変わっていくとしたらー。そりゃ大混乱になるでしょう。
その混乱の最たる例が、いわゆる「トイレ・銭湯・更衣室等問題(勝手にそう呼びます,スイマセン)」です。
懸念の矛先が向いているのはトランス女性。出生は男性の身体で性自認は女性という人々です。性同一障害の人々のように性別変更手術を受けていない人も含みます。外見が女性っぽいかどうかは問題ではありません。
心は女性なのに身体の性のまま男性トイレや更衣室を使わなければならない苦痛。「LGBT理解増進法」は、こうした苦痛に配慮し性自認による性別を保証するものです。
しかし「心は女性といっても身体は男でしょ」という不安な気持ちが様々な懸念を持って広がっています。
「身体が男だから、何かあったときに体力で負けるでしょ」
「”性自認は女性”って自己申告でしょ? 実はそうじゃない変態男も紛れ込めるでしょ」
この不安はホントに否定できません。女性下着売り場に男性店員がいただけで「オイオイ……」と思った私ですから。
懸念すべきは問題行為。存在そのものではないはず
法で守られるべきはすべての人の権利です。
安全に、できれば快適にトイレや銭湯、更衣室が使用できること。
そこでの盗撮や身体的接触、視姦などの問題行為が許されるものではありません。どんな性であっても、です。
裏を返せば、どんな性別、外見の人であっても、トイレや銭湯を普通に利用しているだけであれば問題視すべきではないはずです。
「いるだけで怖い」「襲われるんじゃないか」という思いを男性に抱いてしまう。そしてトランスジェンダーにも同じ目を向けてしまう。これが偏見じゃないといえるでしょうか。しつこいようですが、下着売り場の男性店員はただ仕事をしていただけです。
懸念すべきは問題行為であって、存在そのものではないはず。
SNS では明らかなヘイト発言も数多くありますが、私が最も嫌悪を覚えたのは「トランス女性への脅威を示すことは差別というなら、自分は差別主義者でいい」という言葉です。
「差別主義者でいい」と言いながら、自分の立ち位置が圧倒的多数派の正義側だと信じて疑わない、悪意の自覚すらないのでしょう。差別の怖さってこういうことだな、と。
だから私は「LGTB理解増進法」を望みます。
「自分に認められている権利はほかの人にも認められるべき」でその反対も然り。
自分にできる結婚(法律婚)は誰にでもできることであってほしいし、自分がやれば裁かれる盗撮やレイプは、誰がやってもちゃんと裁かれることであってほしい。
私も、そしてほかの誰も犯罪の被害者や加害者にならない社会であってほしい。誰も「差別主義者でいい」なんて開き直らないでほしい。一緒に真剣に考えてほしい。
私の「LGBT理解増進法」に賛成という立場はこれらの考えの先にあります。
一応映画ブログなのでLGBTに関連した映画をご紹介します。
映画『ボーイズ・ドント・クライ』(1999年)

アメリカで実際に起きた事件を基にした映画です。LGBTに対する差別や偏見の酷さ、差別や偏見は悲劇しか生み出さないことを強く訴えかけてくるかなりキツい映画です。
映画『ヒヤシンスの血』(2021年)

共産政権下のポーランドを舞台に、ゲイコミュニティをめぐる事件を追う警官の苦悩と事件の真相を描くサスペンス映画です。こちらも「ヒヤシンス作戦」と呼ばれた実際にあった同性愛者への弾圧が描かれています。
ぜひ。
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