映画タイトル:誰かの幸せ
原題:Le Bonheur des uns…
製作年:2020年 フランス
監督:ダニエル・コーエン
映画『誰かの幸せ』は、
一人の女性の作家としての成功をめぐって、恋人や友人関係が変化していくさまを描くコメディ映画です。格下だと思っていた相手がー、フランス映画らしい人間の内面をえぐる容赦のなさが楽しめる1本です。
キャスト
・ベレニス・ベジョ(レア)
ショッピングモールのブティック店員
・ヴァンサン・カッセル(マルク)
レアの恋人
・フロランス・フォレスチ(カリーヌ)
レアの友人
・フランソワ・ダミアン(フランシス)
カリーヌの夫
・ダニエル・コーエン(ポール)
レアの上司
映画『誰かの幸せ』の見どころと感想
(*ちょっとネタバレありです)

ショッピングモール内のブティックで働くレア。レアの楽しみはモールでの人間観察。観察した人間模様を描いた小説が編集者の目にとまり出版することに。
一方、自身の仕事がうまくいかない恋人のマルク。多忙となるレアと関係はぎくしゃくし始めます。
マルクだけでなく友人のカリーヌやその夫フランシスも、レアの小説が売れるはずはない、と高をくくっていました。が、そんな予想に反し小説は大ヒット。
レアの成功を素直に喜べない面々はー。
評)人の成功を喜べない気持ちを滑稽かつ辛辣に描く
人の成功を妬むような人間にはなりたくない。そう思いながらも、やっぱり妬んでしまうもの。
自分の人生がうまくいっていないときは特にそう思ってしまいます。ましてや格下だと思っていた相手だったらー。
この映画はそんな誰しもが抱えるイヤな気持ちを滑稽かつ辛辣に描いています。
主人公のレアは平凡な女性として描かれています。レストランの注文のシーンに見る「自分の気持ちを通せない」さまには、かなりイライラさせられます。恋人との関係でもイニシアティブをとるのはマルクのほう。友人のカリーヌもレアと違って推しの強いタイプです。
そんな恋人や友人にとってレアは”格下”と見なされています。あの平凡で優柔不断なレアがやることがうまくいくはずはない、と。
が、いざその格下の相手が大きな成功を手にすると人はどんな反応をするのかー。
露骨に妬んだり、足を引っ張るようなことはしません。「あの子にできるのなら私も」「あの子が小説なら私は別の分野でー」というポジティブなメンタルで頑張るのです。が、その姿はなぜか滑稽で痛々しい。
嫉妬の対象であるレアが成功を鼻にかけるわけでもなく、昔のままでいるのもオモシロくないんですね。いっそ嫌なヤツにでもなってくれたれたらー。
そんな誰もが抱える「妬ましい」という厄介な気持ちを、イヤというほど見せてくれる映画です。
キャストは悲劇も喜劇もお手のもののフランスの実力派揃い。インテリアや料理などのお洒落な見どころもたっぷりです。
誰の立場で見ても8割イラつく話ですが、「妬ましい」という人間らしさを受け入れられる大人でいたいな、と思う映画『誰かの幸せ』。ぜひ存分にイラつきながらお楽しみください。
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