誰かに「本」を贈ったことはありますか?
本は好みがあるものだし、そもそも相手が本を読むのが好きかどうかもわからない。そう思うと、「本」というものは簡単にプレゼントしにくい。なのに、巷には「プレゼントにおすすめの本」があふれんばかりに紹介されています。
キレイな絵本や画集、オシャレな写真集や海外のインテリア本、心が軽くなりそうな本、癒してくれそうな本、元気が出そうな本、猫がカワイイ本、いや、猫がカワイイだけの本。
つまり、誰が貰っても「イヤな気がしない本」がプレゼントには最適なのです。
さらに、本のチョイスには相手の好みだけでなく、贈り主の「好み」や「センス」が表れてしまいます。本を贈るとなると当然そのことが気になるわけで、「相手のことを考えてー」と言いつつ「オシャレに見られたい」「やさしい人と思われたい」という自分の浅ましい気持ちが反映されてしまうのです。いよいよ本を贈るのが怖くなってきますがー。
「貰った人がイヤな気がしない本」や「贈り主(つまり自分)のメンツを保つ本」といった「守りのプレゼント本」ではなく、「絶対にコレを読んでほしい!」といった「攻めるプレゼント本」を考えてみました。
【攻めるプレゼント本】の選び方① 相手の好みは考えない

本を贈ろうと考えたとき、普通は「どんな本が好きなんだろう?」とか「この人、普段はどんな本を読むんだろう」と考えますよね。もしチャンスがあるならその人の「本棚」を見てみたい。
が、「攻めるプレゼント本」にはこの調査は必要ありません。
相手の好みにドンピシャにハマり、「わぁ、コレずっと読みたかったんですぅ!」とか、「私が好きそうなヤツです!よくわかりましたね!」みたいな反応を期待してはいけません。
相手の好みや期待にハマった時点で「攻め」にはなっていないのです。
興味がない本や苦手な本を贈っても読んでもらえないのでは? という心配はもちろんありますが、本を貰った人が今まで知らなかった自分と出会うためにあえて「攻める」のですから。
「攻めるプレゼント本」は、相手の好みは度外視し、むしろ好みや興味のあることからかけ離れている本を選びましょう。
【攻めるプレゼント本】の選び方② 読んだ感想が想像できない本

「〇〇が教えてくれた泣ける話」とか「元気が出る〇つの習慣」とか「心に響く名言集」とか「絶対に夢は叶う!」といった類のタイトルの本は、読む前からおおかたの感想が想像できます。
感動する、しあわせな気分になる、泣ける、などの「特定の気持ち」になるためにあるような本ですから、貰う人は贈り主からの「元気を出してほしい」「楽に生きてほしい」といったメッセージとして、「本」を受け取るでしょう。
本を貰ったときに、こうした贈り主の見え見えのメッセージがプレッシャーと感じる人もいるでしょうし、いらん世話と思う人もいるでしょう。で、なによりダサいー、と思うんですよね、こういう本を贈るのは。
「攻めるプレゼント本」は、タイトルや表紙を見ただけじゃ内容はもちろん、「何系」の本なのかもわからないものや、タイトルと中身のギャップがある本がおすすめです。
読んだことはなくてもどんな内容なのかが広く知られているベストセラーや映像化作品なども「攻めるプレゼント本」選びでは除外したほうがいいでしょう。
忘れてはいけない!「読んでほしいから贈る」という気持ち
なぜ「本を贈る」のか、は、もちろん「読んでほしいから」です。相手の好みを度外視するのも、表紙やタイトルだけで内容が想像できない本を選ぶのも、「読んでほしい」という気持ちが根底にあるからです。
あえてツラい気持ちに追い打ちをかけてやろうとか、エログロの中身でビックリさせようとか、強烈な人と印象付けようとか、そんな気持ちで本を贈るのはゲスのやることです。
自分が読んで心を揺さぶられた本を、あの人はどう読むだろう?
「攻めるプレゼント本」の真髄はココにあるのです。
というわけで、話の流れ上「これはこんな内容ですよ」を一切紹介しませんが、私からの「攻めるプレゼント本」はこの3冊です。
さて、どんな気持ちになりますかな?
◆『脂肪のかたまり』モーパッサン
◆『辞書編集、三十七年』神永 曉
◆『にゃんくるないさー』北尾トロ