私はずっと、自分は政治的には「中立」だと思っていました。
が、ここ数年「中立」と思っていたその立ち位置が、随分「左」に寄っていることに気づきました。
私は変わってはいないのに、世の中が「右」に寄っていったような……。
ホントにそう?
”政治に「中立」はない” と明言する本書『学校が教えないほんとうの政治の話』
これを読んで自分の政治的ポジションを考えてみました。
『学校が教えないほんとうの政治の話』の内容紹介
本書は中高生を対象にした「ちくまプリマ―新書」の1冊です。
選挙に行って誰に投票すればいいいのか、わかりますか?
ちくまプリマ―新書より
若者の投票率が低い理由、それは「ひいきのチーム」がないからです。
政治参加への第一歩は、どっちがホームでどっちがアウェイか決めること。
この本を読んで、あなたの政治的ポジションを見つけてください。
「中立」じゃダメなんですか?
世の人々はとかく「自分こそが中立で、まわりが偏っているのだ」といいたがります。あるいは「自分こそが正義で、まわりがまちがっているのだ」と考えたがります。とんだ誤解というべきでしょう。民主主義とは多種多様な意見を調整し、よりよい結論を導くためのしくみです。人の意見は多様なものである、という前提に立てば、どんな意見も少しずつ「偏っている」のが当たり前なのです。
『学校が教えないほんとうの政治の話』より
終章で自身の立ち位置を「左派」と明らかにする著者・斎藤美奈子さん。ま、そこまで読まずともそうであることがハッキリとわかるキレの良さはさすがです。
痛快で切れ味鋭い文芸、サブカル批評(『あほらし屋の鐘が鳴る』『文壇アイドル論』『誤読日記』他多数)は今でも愛読しています。
そんな私が中高生の当時(1982~87年)といえば、安保闘争や学生運動は影も形もなくなり好景気に沸いた頃。世界ではベルリンの壁が崩壊(1989年11月)し、民主化運動が盛んな時期でしたが、日本では若者が「保守」だの「革新」だの、「右」だの「左」だのと言わなくなった、言わなくてもいい、むしろ言うのはカッコ悪い時代だったと記憶しています。
好景気の中、すっかりノンポリに育った私。政治には無関心の個人主義。選挙には行っていましたが、特定の政党を支持することもなければ長く続いていた自民党政権に反発を覚えることもありませんでした。麻生太郎自民党副総裁の「政治に関心を持たなくても生きていけるというのは良い国です」発言もたしかにそうだと思います。なんかモヤッとはしますけれど。
分断が進む社会の中で自分の立ち位置を再認する

そんなノンポリでノンポジの私でも肌で感じるここ数年顕著になった「分断」と「対立」。世の中を見渡してみると「中立」と思っていた自分の立ち位置は結構「左」だな、と思うようになりました。
本書は「右」「左」という思想の違いだけでなく、
・「体制派」と「反体制派」という立場の違い
・「資本家」と「労働者」という階級の違い
・「国家」と「個人」という主体の違い
をわかりやすく解説し、今の政治に対し「保守」か「リベラル」か自分のポジションを問います。
「こんなに偏った見方を中高生に示していいものか……」なんて思ったものの、親でも教師でもない私が気にするのもおかしな話。むしろ自分の「中立でイイ」「中立じゃないといかん」という考えこそ問題なんじゃないかと思わせるものでした。
大人にもおすすめの1冊です。