旧東ドイツの陰鬱と希望/民族問題を知る/春のご褒美

まんざらでもない日記

2021年2月24日

先日見た映画『希望の灯り』について。 ドイツ郊外の大型スーパーマーケットを舞台に人間模様を描いたもの。スーパーマーケットものといえば、豪華キャストのナゾ映画『ハッカビーズ』(2004年)を思い出すけれど、こちらは、超地味。

新入りの無口な青年クリスティアンと、その青年に仕事を教える熟年店員のブルーノ、クリスティアンが一目ぼれする女性店員のマリオン、がおもな登場人物。で、このスーパーは客がほとんどいないし 、店員のやる気もない。タバコを吸い、コーヒーを飲み、頑張ることといえばフォークリフトの運転ぐらい。無口といいながら恋バナはできるんかいっ! なんてことを思っていたら、じわーッとそれぞれの背景が見えてくる。そうか、ここは旧東ドイツなんだ、ということがわかる。

(C)2018 Sommerhaus Filmproduktion GmbH

1989年、ベルリンの壁は崩壊した。この出来事は、人々が自由を取り戻した「平和の象徴」だとずっと思ってきた。が、この映画に描かれているのは、自由を手にしたはずの人々の虚無だった。

原作は旧東ドイツ生まれ(1977年生まれ)の作家クレメンス・マイヤーの短編『通路にて』(短編集『夜と灯りと』に所収)。マイヤーはこの映画の脚本も担当している。

というわけで、さっそく図書館で借りてきて読み始める。陰鬱な中にも希望を求めてさまよう人々が登場する。 ゆっくり読みたい。そして、たぶん買う。


たまたまというか、意識が向いているからだと思うが、このところ中央~東ヨーロッパを舞台にした映画をよく見ている。

『みかんの丘』(2013年)
ジョージアからの独立を目指すアブハジア自治共和国の集落が舞台。ここでみかんを栽培している2人のエストニア人が対立する負傷兵士を助けー。

『とうもろこしの島』(2014年)
同じくアブハジア自治共和国が舞台。ジョージアとの間に流れる川にできた中洲でとうもろこしを栽培する老人と孫娘。生きるためにとうもろこしを作る2人と圧倒的な自然の驚異、そして民族紛争を描く。

『女は二度決断する』(2017年)
ドイツ・ハンブルクで外国人を標的にしたテロによって夫と息子を失う女性を描く。絶望のなか、彼女が下した決断とはー。

『サラエボ』(2014年)
第一次世界大戦の引き金となる「サラエボ事件」を描く。事件の調査にあたる判事がつかむ真相とはー。

このほか南イタリアを舞台にした『夏をゆく人々』(2014年) など。

映画に描かれている民族問題が日本人の私にはピンとこないこともある。が、こうした無知が、自覚なき差別感情や不寛容さの一因なのかもしれない。社会を見渡して、自分も反省。


土筆煮て飯くふ夜の台所(正岡子規)

not-manzara.com

今年も「つくし」のシーズンが到来。季節ものとして、ほんの少しいただく類のものだろうけど、私はつくしが大好き。たぶんこの世で一番好きな食べ物だと思う。

昔はちょっと田舎に行けば自生しているつくしを収穫することもできたけれど、今は誰の土地かもわからないところでうっかり密猟となってはいけない。地元の産直市場につくしが並ぶ頃を見はからって今年も大量購入。せっせと袴をとり、灰汁をとって茹でて冷凍保存完了。

ちびちびと卵とじにしてお酒とともにいただく。これぞ春のご褒美かな。

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