本と読書

おすすめの本と読書に関するコラムです。

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『新版 ヒロインは、なぜ殺されるのか』 田嶋陽子 フェミニズムの枠組みで映画を見たときに見えてくるもの

『新版 ヒロインは、なぜ殺されるのか』は、フェミニズムの第一人者、田嶋陽子先生が映画に描かれた女性像を解説したフェミニスト批評です。映画を見ていない人にも読めるようにー、と書かれていますが 、これを読んだら俄然映画見たくなる、そして女性観や女性性についてちゃんと考えたくなる1冊です。
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『イン・マイ・ライフ』 吉本由美 あの頃も、これからも憧れの人

10代の頃に見ていた『オリーブ』や『アンアン』。おしゃれで可愛くてセンスが良いインテリアや雑貨たち。その世界(誌面)を作っていたのがインテリア・スタイリスト吉本由美さんです。『イン・マイ・ライフ』は、その当時の話と2011年に3月に熊本に移り住んでからの日常が綴られたエッセイです。
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『裸で泳ぐ』 伊藤詩織 散漫さが生み出すエネルギー

『裸で泳ぐ』は、性被害を受けたことを実名顔出しで告発した伊藤詩織さんのエッセイです。ひとところにとどまえれない行動力と目まぐるしく変わる話題。ある種の散漫さにエネルギーを感じる1冊です。
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『メルケル 世界一の宰相』 カティ・マートン 現代世界史を学び直すおすすめの1冊

『メルケル 世界一の宰相』は16年に渡りドイツとEUを率いてきた傑出の政治家、アンゲラ・メルケルの評伝です。東独での生活、ベルリンの壁の崩壊と政治家への転身、プーチン、トランプ、コロナ禍まで、世界で何が起こりそれにどう対処したのか。メルケルの人柄さながらの「誉め」「アゲ」を控えた筆致で綴る現代世界史の学び直しにおすすめ1冊です。
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『愚か者同盟』 ジョン・ケネディ・トゥール  愛すべきトンデモ男の騒動譚

『愚か者同盟』は、無職、肥満、哲学狂、傍若無人な怠け者にして、口達者なひねくれ30歳独身男の騒動譚。1960年代に書かれたが作品となったのは作者の没後。そこからさらに長い年月を経ての邦訳版(訳・木原善彦)です。ぜひご一読を。
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『スタッフロール』深緑野分 スタッフロールに込めた思いとは

『スタッフロール』は映画界を舞台にした2人の女性クリエイターの物語です。直木賞でも有力視(惜しくも受賞は逃しましたが)され評判も上々。映画好きとしてはいやでも期待が高まります。が、ちょっと期待し過ぎたのかもしれません。
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『東ドイツのひとびと 失われた国の地誌学』 ヴォルフガング・エングラー 監視社会の奥にあったひとびとの日常とは

映画『善き人のためのソナタ』の主人公のあの音楽を聴いたときの複雑な表情には何がこめられていたのかー。監視社会、全体主義社会という東ドイツのなかでひとびとはどんな世界を生きていたのか、国家体制や政治の側面だけでなくその日常を描く本書『東ドイツのひとびと 失われた国の地誌学』こそ参考になるのでは、と思い読んでみました。
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『学校が教えないほんとうの政治の話』斎藤美奈子 政治に「中立」はない

私はずっと自分は政治的には「中立」だと思っていました。が、ここ数年「中立」と思っていたその立ち位置が、随分「左」に寄っていることに気づきました。「私は変わってはいない、世の中が「右」に寄ったのだ」と。ホントにそうなのか?本書『学校が教えないほんとうの政治の話』読んで自分の政治的ポジションを考えてみました。
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『同志少女よ、敵を撃て』 逢坂冬馬 なぜ少女たちは武器を持って戦地に立つのか

2022年の本屋大賞や選考委員全員が満点をつけたアガサ・クリスティー賞の受賞ほか、大きな話題となった『同志少女よ、敵を撃て』 これがデビュー作とは思えないクオリティと、奇しくも今起こっているロシアによるウクライナ侵攻につながる”戦争”を描いた本作。必読の1冊です。
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『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』川本直 虚構か事実かー、事実だけが真実ではない 

トルーマン・カポーティ、ゴア・ヴィダル、ノーマン・メイラーと並び称された、アメリカ文学史上に燦然と輝く小説家ジュリアン・バトラー。が、その謎に包まれた生涯とはー。虚構か事実か、事実は果たして真実なのか。幾層ものストーリーとゲイ文学を題材にした作家の存在を問う傑作小説です。