王妃フンヅ・マリー 便秘からの解放戦記

コラム
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尾籠な話で恐縮です。

あまりにも愚かでお恥ずかしい話なので、先に結論を申し上げますと、

「ウンコが2日出なければ、下剤を飲んどけ!」

ということです。

「下剤ってクセにならないの?」
「下剤飲むとお腹が痛くなるんじゃないの?」
「下剤に頼る前に食生活で改善したほうがいいんじゃないの?」

など、数々のご質問もあるかと思いますが、ま、これをお読みください。

「そなたは、それでも下剤を飲まないおつもりですか!」

【序章】王妃フンヅ・マリーの目覚め

週末には実家にもどっていた学生時代のフンヅ・マリー。
いつものように母の手料理を食べ、TVを見ながらゴロゴロしていると、何やら腹具合がオカシイ。「そういえば、今週ウンコしたっけ?」 と思いながらトイレへ向かいました。

当時のマリーは、学生寮でゆっくり大便をできるほど猛々しいヤツではなく、文字通り「ケツの穴の小っちゃいヤツ」でした。が、2,3日出なくてもお腹が張るとか痛くなるということはなく、少々屁がクサくなる程度のことでした。

あ、少々、ではなく、想定外の臭いがもとで、いたいけな園児たちが世紀の冤罪事件に巻き込まれた事件はこちらです。

トイレに座っても便がなかなかお出ましならない。
何度かトイレに出たり入ったりしているうちに、ようやく兆しが!

「出産は、鼻の穴からスイカが出るくらい無理やり開かれる感じ」といいますが、マリーは出産の経験はなく、 鼻の穴にスイカを出し入れしてみたこともありません。

が、このときの排便はまさに出産級でした。児頭、いや、ウン頭が出たと思ったが、出し切れない。しかも、直腸内に戻すこともできない。まさに、ウンともスンとも言わない状態。

これはいかん! どうにもならん! 爆笑する母君とともに、タクシーで救急病院へ。

そこに優しそうなおじいちゃん先生が登場。

「ん、こりゃこまったね(笑) ま、(グリセリン)浣腸しよっか」

と指示を出し、マリーはベテラン看護師に誘われトイレへ。

ベテラン看護師は人肌に温めた浣腸の先をマリーの肛門に挿入しようとするが、肛門から「こんばんは」したウン頭が行く手を阻み、浣腸のチューブを刺すことすらできない。

「か、かっ、浣腸が入りません!」

診察室に響き渡る、ベテラン看護師の叫び声。

「なにっ!? じゃ、摘便をしよう!」

老医師は本気を出して立ち上がった。

(摘便の詳細なもようは、割愛させていただきます)

無事、第一子「ウン子」を出産したマリーは、日頃の便秘具合を厳重に注意され、大量の下剤をもらい、相変わらず爆笑し続ける母君と一緒に帰路につきました。

【第2章】勃発!フンヅ・マリーの戦い

王妃となったフンヅ・マリーは、相変わらず「毎日快便」とは縁遠い生活を送っていました。
激務やストレスで食生活は乱れ、おまけに便意をもよおしてもすぐにはトイレに行けない環境。翌日の予定を考えると「下剤はのまないほうがいい」となることも多々ありました。

そんなある夜ー。夕食後に急に便意が。出始めの固いブツに難儀しながらも、自力で排出することができ、一安心して就寝。

が、うつらうつらしたところで猛烈な腹痛がやってきました。固い前衛の後方に待機していた残党たちが、我も我もと出口めがけて押し寄せてきたのです。残党たちの一部はすみやかに脱出しましたが、最後方の、まだ大便とも呼べぬ未熟ものまでもが、一斉に国外脱出を図ったのです。

次から次に流れ出る未熟ものたちー。しかし出し切ってしまえば、ふたたび平和が訪れることを知っていた王妃マリーは、「さあ、行くがよい!」と潔く城門(肛門?)を全開にすることで戦乱をおさめようとしました。

王妃マリーの賢明な判断により、平和が訪れたー、かのように思われましたが、本当の悲劇はここからでした。城内に待機していたウン軍たちは、あろうことか城壁を無惨にも傷つけていたのです。
ウン軍が立ち去った後も流血が途絶えることなく、マリーは命からがら隣国の王に救助を願い、馬車で病院に向かいました。


「虚血性腸炎です」

そう診断されたマリーは、そのまま入院。内視鏡検査の結果、かなりの重症と分かり、絶飲食の指示が下されました。

*虚血性腸炎とは、さまざまな原因で腸管の血流が阻害され、腸壁の粘膜に潰瘍やびらんを形成する病気です。
動脈硬化や血栓、塞栓が原因となりやすい高齢者のほか、若年者では便秘が原因で起こることもあります。

2週間近い絶飲食(栄養はIVHです)を絶えたマリーは、ようやく退院の日を迎えました。

【第3章】苦悩 マリーにもたらされる更なるリスク

さすがの王妃フンヅ・マリーも、ココまでの辛い経験をすれば、便秘を軽視することはなくなりました。3日も4日も排便がないことを放置せず、おそるおそる下剤を飲むようになったのです。もちろん、水分をしっかりとり、食物繊維も意識して食べる、運動もする、といった王妃らしからぬ涙ぐましい努力も重ねました。

しかし、神はマリーに更なる試練をー。

とある夕食後、マリーは軽い胃痛に見舞われます。「変なものを食べたかな」と思っていたところ、しばらくするとお腹全体の張りと痛みが出現。「ん!これは」と思いトイレにいってみたものの、出そうな気配はありません。幸い我慢できる程度の痛みだったので、朝まで様子を見ているうちに痛みが右下腹部に現局してきました。

これがかの有名な マックバーニー(マックバーネー)圧痛点です。右下腹部を圧迫し、その圧迫を解くときに強い痛みが起こる、これまた有名なブルンベルグ徴候も出てきました。

間違いなくこれは「虫垂炎」-いわゆる盲腸炎です。

マリーは名外科医のいる病院で、腹腔鏡下での虫垂切除手術を受けました。虫垂炎自体は便秘とは直接の関係はないのですが、問題は手術です。たとえ腹腔鏡下手術であっても、腸の手術は腸管の癒着のリスクになります。

ただでさえ便秘がちなうえに、癒着というリスクを抱えたマリーの腸内は、もはやいつまた内戦が勃発してもおかしくない状況となったのです。


以後、王妃フンヅ・マリーの腸内では小さな反乱が繰り返されています。

炎症や手術に加え、「加齢」という、いかんともしがたい問題が加わったマリーの腸管は、ウンコにとっても非常に通りにくく、イライラする道なのかもしれません。毎日適度な固さでスルリと出てくればいいものの、長居をしたがるものや、仲間を集めて大勢で出てこようとするものがいます。それら由々しき軍勢の後ろには、すぐにうろたえて、流れ出ようとする未熟ものが待機しています。

この混乱を正常化するためには、「食事」と「睡眠」、そして「適度な運動」という基本政策はもちろんのこと、「薬」をうまく使うことも重要課題です。

まず、整腸剤。腸内細菌の力によって「腸内フローラ」を整える薬です。

そして、下剤。下剤にはいくつかの種類がありますが、市販薬のほとんどは大腸刺激性下剤といわれるものです。

*大腸刺激性下剤とは、大腸を刺激して腸の蠕動運動を起こさせるタイプの下剤で、効果が出やすい一方、常用するとクセになり、服用量を増やさないと効果が表れにくくなることもあります。
また、腸管を刺激するため、下剤が効きだすとお腹が痛くなることもあります。

が、だからといって何日も便が出ない状況を軽く考えてはいけません。

王妃フンヅ・マリーはこう決意し、民衆に高らかに宣言しました。

「2日間ウンコが出なかったら、寝る前に下剤を服用する!」

マリーは現在、朝ネットを見ながらコーヒーを飲んだり、本屋さんで本を探したりすることで、イイ感じで便意をもよおすようになりました。

下剤を服用する頻度もそれほど多くはなく、幸せに暮らしているとかいないとかー。

ああ、永遠なる平和を願わんー。


やみくもに「下剤はのまないほうがいい」「下剤はクセになる」と思い込むのではなく、自分にあった上手な使い方を身につけていきましょう。

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