映画タイトル:つぐない
原題:Atonement
製作年:2017年 イギリス・フランス・アメリカ
監督:ジョー・ライト
映画『つぐない』は、
1930年代のイギリスを舞台にした、上流階級の娘セシーリアと使用人の息子ロビーとの身分違いの恋を描く恋愛ドラマです。セシーリアの妹ブライオニーの誤解と嫉妬により2人の恋はー。
原作はイアン・マキューアンの『贖罪』。クラシカルで美しい衣装や美術のほか、時間を前後させる凝った仕掛けも見どころの1本です。
キャスト
・キーラ・ナイトレイ(セシーリア・タリス)
上流階級の娘
・ジェームズ・マカヴォイ(ロビー・ターナー)
タリス邸の女中頭の息子
・シアーシャ・ローナン(ブライオニー・タリス)
セシーリアの妹(13歳)
・ロモーラ・ガライ(ブライオニー・タリス)
18歳となったブライオニー
・パトリック・ケネディ(リーオン・タリス)
セシーリアの兄
・ベネディクト・カンバーバッチ(ポール・マーシャル)
リーオンの友人
映画『つぐない』の見どころと感想
(*ちょっとネタバレありです)

1935年のイギリス。セシーリアとロビーは、令嬢と使用人という身分の違いはありながらも相思相愛の関係。小説家を夢みる妹ブライオニーもまた密かにロビーに思いを寄せていました。
そんなある日、ブライオニーは噴水のそばで口論する2人のただならぬ様子を目撃。さらにロビーがセシーリアに送った手紙には大人の関係が記されていることを知り、ブライオニーはショックを受けます。
姉妹の兄リーオンが友人のポールを連れて帰宅したある日のこと、ブライオニーは図書室でセシーリアとロビーの情事を目撃してしまいます。その夜、退屈さから双子の従弟が家出をしたとわかり一同は敷地内を捜索します。そんな中、従弟の姉ローラが何者かに強姦される事件が発生。その現場を目撃したブライオニーの証言によって犯人とされたロビーは逮捕、連行されてしまいます。
4年後、第二次世界大戦のさなか、ロビーはフランスへ派兵。出征前にセシーリアと再会し変わらぬ思いを伝え合う2人。しかし、戦況は厳しくー。
評)前後しながら描かれる「虚」と「実」 本心は「つぐない」なのか
前半の豪奢な屋敷を舞台にした恋愛物語から、後半は戦時下へ。引き裂かれた2人がどうなったのか、妹ブライオニーはー、ということが明らかにはなるのですが、この映画は作りが凝っているというかややこしい。見終わった後に、どこまでが事実で、どこまでがブライオニーの創作なのか判然としないのです。
<この後、結末に関する記述があります>
あの強姦事件の犯人はロビーではなかった。看護師となったブライオニーは2人に会いに行き謝罪しますが、関係は修復できず。やがてロビーはダンケルクで戦死し、セシーリアもロンドンで空襲に遭う。
が、ラストで小説家となった老年のブライオニー(ずっとヘアスタイルは変わらない!) は、それを微妙にひっくり返すようなことを言う。繰り返し出てくるタイプライターを叩く音、そして、前後しながら描かれる「虚」と「実」。
大きくは、ある「虚」が引き起こした悲恋のドラマではあるものの、全体を覆うブライオニーの嫉妬の念が強くて、あれはホントに「誤解」だったのか、本心は「つぐない」のなのか、とモヤモヤしてしまうのです。
少女期のブライオニーを演じたシアーシャ・ローナンの純粋と狂気、それを硬い殻に封じ込めた青年期を演じるロモーラ・ガライもいい。キーラ・ナイトレイのコスチューム劇へのハマりの良さも堪能できるうえに、ダンケルクのシーンは戦争映画並みの仕上がり。
なんだかんだ言いましたが、見ごたえたっぷりの1本です。
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