動物木彫展に行く/『東京ディストピア日記』を読む/山本文緒さん逝く

まんざらでもない日記

2021年10月19日

動物彫刻家、田代雄一(@yuichitashiro)さんの木彫展に行ってきた。場所は福岡女子大学図書館。とにかくその作品の可愛さたるや、木彫りなのに、いや、木彫りだからこそ温かい魂がこもっているようで、見ているだけで幸せな気持ちになれた。

動物たちのリアルな特徴に寓話的な要素を加えた作品の数々。

予想以上に数も多くこれが無料公開(写真撮影、SNS投稿も可)とは、と別の感激も。
緊急事態宣言後初のお出かけらしいお出かけだった今回、出身校でもない大学キャンパスを訪れるのも貴重な体験だった。授業も再開され、図書館に向かうまでにいくつかの教室から授業の声が聞こえた。学生さんたちにも日常が戻ってきたようでホッとした。


『東京ディストピア日記』を読む。先日の”解釈”論争で久しぶりに読んだ桜庭一樹さん。その桜庭さんによるコロナ禍の日記。2020年の1月~2021年の1月までの世の中と桜庭さんの日常が綴られている。

感染拡大の状況や後手後手の対策、失われていく命など「ああ、そうだったな、そんなこともあったな」と思いながら読んだ。この本に書かれている以後、オリパラもあり変異株によって感染はさらに拡大した。安倍首相のあとを継いだ菅首相も退陣した。ここに書かれている日常はどうなったのだろう。桜庭さんの行きつけの ”おじいちゃんマスターの喫茶店” や ”薄緑とレモンイエローの壁のホテルのラウンジ” はいまー、と思わずにはいられない。

そこに綴られている日常がかけがえのないものだと思えてくる。安易な観測もせず、人を煽ることもしない。淡々とした日記だからこそ、止まっているように見える世の中でもちゃんと動いているのだと気づけるのかもしれない。

「事実」と「何を思ったのか」を飾らずに書く。そんな日記の力をあらためて知った。


そんな昨日、作家山本文緒さんの訃報が。
『恋愛中毒』『プラナリア』などの小説を30代の頃によく読んでいた。『そして私は一人になった』『日々是作文』などのエッセイには、境遇は違っても同世代の女性としてヒリヒリさせられるほど共感した。

58歳、早すぎる。手元にある未読の小説『なぎさ』を読もう。たくさんの作品を残してくれた山本文緒さんに感謝。

◆もう一度読みたい

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